ーション能力の習得、きっかけにも繋がります。
最後に、目を背けたくなるようなこの苦境の中、代表の北出さんを筆頭に若手バンドメンバーの皆さんが一丸となり、コンテンツをゼロから作成しました。
私は、そんな彼女、彼らを心から応援するとともに、テンポル・バート続編を期待するファンの一人でもあります。
銀座には長年営業を続けている老舗や有名なライブハウスがたくさんありますが、当ライブハウスはオープンから3年目の新参者でした。
集客がうまくいかず借金がかさみ、何度も閉店を考えたことがあります。
それでも首の皮一枚で繋がり、ようやく赤字が出なくなってきた矢先に、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが世界を襲いました。
銀座という土地柄、ライブハウスのお客様はサラリーマンが中心でしたので、飲み会禁止令やテレワークの導入により街からは人が消えました。
2020年3月下旬、近隣店舗からもクラスターが出たという噂を聞き、すぐにライブハウスの休業を決めました。といいますのも、当ライブハウスの売りは“参加型エンターテインメント”だからです。
出演バンドの生演奏はもちろんのこと、生演奏でのカラオケや楽器を嗜まれるお客様とのステージセッションなども提供してまいりました。
いくら対策を講じても、感染の可能性をゼロにすることはできません。
従来通り、営業を続けていくことは不可能でした。
それでも、映像なら限りなく感染リスクをゼロに近づけることができます。
休業中はYouTubeで無観客ライブも配信しましたが、それだけでお客様の心を繋ぎ止めてはおくことはできないと思っていました。
「何かを変えていかなければ・・・」と途方に暮れていた時、お客様の1人がヒントをくれたのです。
彼は、3.11の震災をアイディアで乗り切った経験の持ち主でもありました。
「今、コロナで困っている人がたくさんいる。あなたが扱っているものは音楽だから。人に元気を与え、役に立つことができる。もっと音楽を必要としている人達がいるはず。」と。
この時から、「コロナで困っている人の役に立ちたい!」という思いが強くなっていったのです。
ライブに出演していたミュージシャンにも、子を持つ親がいます。
新型コロナウイルス感染症による生活環境の変化は、子育て中のご家庭にも大きな影響を与えました。
外出自粛が行われてからは、子どもの「学び」や「遊び」の機会を求める声も多く聞かれるようになりました。
そこで、非対面でも提供できる音楽や動画コンテンツが子育て世帯のニーズを満たすサービスであると考え、親子で楽しめる音育教材の開発に至りました。
メンバーからは企画について賛同を得られたものの、問題は山積みでした。
まずは、資金の問題です。収入は当然ゼロですし、製作費やメンバーの生活費も捻出しなければなりません。
融資を受けるために金融機関を走り回り、助成金に補助金、給付金は可能な限り申請して資金を集めました。
特に苦労したのが、初めて扱う映像です。
必要な機材の勉強から始め、使い方やテクニックは友人に教わって覚えました。
テンポル・バートの世界観を惜しみなく表現するため、衣装や小道具のほとんどを自分たちで作りました。
コロナ大魔王の王冠制作
彼らは音楽のスキルはあっても、ダンスや演技などはやったことがなく戸惑うメンバーもいました。
ですが、撮影が進むにつれ、皆が楽しんで収録に臨むようになり、率先してアイディアを出し合う