打楽器の新しい価値【リン青銅トライアングル】で安心を響かせたい

打楽器の新しい価値【リン青銅トライアングル】で安心を響かせたい
銅の合金である『リン青銅』を使用した、深く長い余韻を得られる珍しいトライアングルです。『リン青銅』はあまり聞いたことのない金属だと思います。主に精密機器や産業機械の部品に使用され、普段目に見えない部分で活用されています。銅は抗菌効果も高い為、この材料でトライアングルを製品化したいと思います

今でも屋根葺板、寺院の鐘(銅鐸)や仏具、楽器、硬貨、銅像(自由の女神像に代表されるブロンズ像)などでも利用されています。青銅は鉄が安価に流通するまでは最も使われてきた金属だといえます。

ちなみに日本だと10円硬貨が青銅製です。

『リン青銅』はその青銅にリン(P)を加えることで金属としてより強くなった青銅の一種で、19世紀頃は鋳造で大砲を作るのによく用いられていたそうです。

リン青銅は他の銅合金と比較して高いばね性や耐摩耗性を有しており、それを生かした機械部品やモーター、電気部品などの用途や、繰り返し使うスイッチ等の部品に多く使用されています。

※藤井製作所様HPより引用。『リン青銅』などで作られた部品の一例。その多くは、普段目にすることのない機械部品や電子部品に採用されています。
『リン青銅トライアングル』の特徴と性能

『リン青銅』でトライアングルを作ることで従来のトライアングルとはどのような違いが起こるのか、説明いたします。

『リン青銅トライアングル』の特徴①【銅合金特有の味わいある色味と変化】

まず、見た目の違いですが、通常、トライアングルは鋼鉄製なので、空気や水に触れると酸化して錆が発生します。その為、鋼鉄製はほぼ例外なくメッキ(被覆)を行うことで鋼鉄を酸化反応から保護しています。見た目にも綺麗で、長期間使うことを考慮すると安全性の向上や腐食による音質の変化も起こりにくい為、理想的な追加工だと思います。

メッキされた鋼鉄製トライアングル。

対して『リン青銅トライアングル』はメッキは行いません。

よって接触面全てが『リン青銅』むき出しとなります。このメリット(抗菌)は後程紹介いたします。

『リン青銅』は鋼鉄と比べ錆びにくく、仮に表面が酸化して変色を起こしても金属用研磨剤やアルカリ塩(酢と食塩の混合物など)などを含ませたクロスなどで磨けば、また元の色合いを取り戻します。

その為、素材感を出すためにもあえてメッキをせずに試作を行いました。(錫などでメッキするケースもありますが、音が変わったり、銅の抗菌性は失われてしまいます)

銅は表面が酸化することで変色を起こしますが、しかしそれも味わい深い自分だけのオンリーワン楽器となります。また若干ですが、経時変化や酸化の度合いにより音色の変化もあるようです。

表面がくすんだ色になった『リン青銅トライアングル』(左)と新品の地肌の『リン青銅トライアングル』(右)

『リン青銅トライアングル』の特徴②【銅の高い抗菌性】

『リン青銅』は銅合金の一種です。『リン青銅』の種類にもよりますが今回使用した材料(C5191B-H)は銅の割合が9割以上含まれており、高い抗菌性を発揮します。

ちなみに日本の硬貨ですが、10円玉は青銅製と書きましたが、実は1円玉以外の硬貨は全て銅合金(銅を含む割合が高い金属)で出来ており、抗菌性が高いとされています。この抗菌性は金や銀、鉛などにも認められています。
昔から硬貨に金、銀、銅を使うのは優れた抗菌作用がある事を経験で知っていたのかもしれません。(金や銀は素材そのものの価値も非常に高いです)

それでは銅にどれだけの抗菌性があるのか調べたデータがありますので、紹介いたします。

一般社団法人日本銅センター様より引用【http://www.jcda.or.jp/】

このようにウィルスや菌などに効果を発揮します。アルコールや次亜塩素酸などと比べ、即効性はありませんが、半永久的な抗菌効果が得られるのは大きなメリットであると感じています。

そしてこれがメッキを