もちろん開催に際しては医師を招き、会場の換気や消毒、ソーシャルディスタンスをはかる指導もいただき、それを遵守し徹底しています。
「数か月ぶりにリアルな場所で人と対話して笑顔になれた」
「ダイアログは心のワクチンのようだ」
など、オープンしてよかったと心から思える感想をたくさんいただきました。
障害者が街に出ることで、街全体がやさしくなった
同時に、竹芝の街全体の変化も感じています。
警備員さんや近隣のコンビニ店員さんが「こんにちは」「ありがとう」と手話で話しかけてくれるようになりました。交通量の多い危険な横断歩道では「手伝いましょうか」と声をかけてくれる人が増えた、と視覚障害者のアテンドは言います。
アトレ竹芝内では、点字での看板設置など視聴覚障害者が働きやすくなるためのあらゆる配慮や工夫を対話を重ねながら構築してくださっています。
ダイアログ・イン・ザ・ダーク体験後の気づき視聴覚障害者が街に出ることで、誰もが住みやすく働きやすい街に変わる。
それは、2030年のSDGs目標「誰一人取り残さない」社会の実現の一助となるに違いないと感じています。
関わりが制限されたこどもたちにこそ、対話を届けたい。
「対話の森」オープンに際しては、もう一つ大きな目標がありました。
実は海外のダイアログ体験者の半数以上は子どもです。ところが、日本はたったの4%。
ダイアログを通して人と関わることの喜びと、互いを認め合う幸せを子どもたちに知ってほしいと思いました。そこで本当に長い年月をかけ準備をし、ダイアログ・ミュージアム「対話の森」をオープンしたのです。
これで子どもたちが遠足や課外授業などでダイアログを体験してもらえる。しかしミュージアムのオープンを目前に控えている最中に新型コロナウイルスの感染拡大が起き、緊急事態宣言が出ました。
学校は休校。やがて学校が始まっても三密は避けソーシャルディスタンスをはかる中で、給食はおしゃべり禁止。友達と一緒に自由に遊ぶことも難しい。祖父母に会いに行くこともできずにいる子も多いと聞きます。新型コロナは子どもたちに更に深い痛みを与えています。
何とかできたらと思いこの期間に、私たちがチャレンジしたことは2つのことにチャレンジしました。
視覚障害者アテンドとこどもたちが学び合う「ダイアログ・イン・ザ・ダーク・オンラインスタディ」◆ダイアログ・イン・ザ・ダーク オンラインスタディ
緊急事態宣言と同時に学校が休校になったため、オンラインのプログラムを開発。視覚障害者のアテンドたちと子どもたちとが学びあう「オンラインスタディ」を開催しました。全国340名ものこどもたちと繋がり合ったことで、互いに発見し、他者と交流しあうことを楽しむ時間をつくりました。
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ダイアログ・イン・サイレンス 小学校での出張開催
給食もおしゃべりが禁止され、コミュニケーションの制限が多い今、サイレンスの空間なら、静かな中でも「おしゃべり」をすることができます。萩生田文部科学大臣もご参加し、大変感銘を受けたと仰ってくださり、都内の小学校二校で出張開催をしました。
小学校での「ダイアログ・イン・サイレンス」出張開催
しかし、大きな収入源だった企業研修の中止が昨年から相次ぎ、当初予定の9割減の収入のため、ミュージアムの存続すら厳しいのが現状です。
人と人が関わることが最も必要な時期に、私たちの力が不足しており、子どもたちにダイアログを届けることができません。もし、このままミュージアムを継続できなければ、多様性を受け入れるこ