エイズ孤児支援NGO・PLASは、取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会をめざしてウガンダとケニアで活動しています。
今回わたしたちは、貧困とコロナ禍で取り残されているHIV陽性のシングルマザーたちを応援するために「カフェビジネスによる生計向上事業」を新たな地域で展開します。
赤道直下のウガンダ。首都から約50Kmにある「ルウェロ県」がプロジェクトの実施地です。
バナナの樹が緑に茂り、赤土の道がつづく穏やかな風景が広がっていますが、その陰で、HIVと共に生きるシングルマザーと子どもたちが取り残されています。
近年は、HIV治療薬の普及とともに、エイズで命を落とす人は少しずつ減少しています。一方で、エイズで配偶者を失い、自身もHIV陽性となり、遺された子どもたちを抱えるひとり親家庭が困窮しています。
そのなかでも特に、シングルマザー家庭が取り残されています。女性が社会的に弱い立場に置かれがちなウガンダ。安定した雇用の機会が限られるなか、ちいさな菜園を営んだり、近所の人の畑で働くなどしてわずかな収入を得て、なんとか子どもたちを育てているシングルマザーも少なくありません。
さらに、HIVと共に生きるシングルマザーたちには、2つのハードルがあります。
まずは、毎日の服薬が欠かせないこと。
けれども、十分な食事が摂れないまま薬を飲めば、頭痛や吐き気といった副作用に悩まされます。そのため、服用をあきらめ、さらに体調が悪化する悪循環に陥ってしまいます。
もうひとつは、周囲からの偏見とセルフスティグマです。
HIV/エイズへの差別は少しずつ改善されていますが、それでも、HIV陽性であることで周りから心ない言葉をかけられ傷ついた経験を持つシングルマザーに多く出会ってきました。
なかには「自分には価値がない」というセルフスティグマ(自分自身をさげすんでしまう )を抱えるママたちもいます。
シングルマザーたちが孤立し、経済的に困窮することで、子どもたちが学校を中退してしまう課題にも直面します。
わたしたちが現地で行った調査では、シングルマザーたちの年収は日本円で約2万円。たとえば小学校の高学年になると、年間で1万円前後の教育費(制服代・ノートや文具代・進級テスト代など)がかかり、収入の限られたママたちにはまかなうことができません。ウガンダの事業地では、4人に3人の子どもが小学校を中退していました。
学校を中退した子どもたちは、将来の選択肢を得るための最低限の学力を身につけることができません。また、問題解決スキルや意思決定力、コミュニケーション力といった、生きていく上で必要な「ライフスキル」を身につける機会を逸してしまいます。
わたしたちが出会ったシングルマザーたちからは、こんな声を聴きました。
「生活のために、子どもに学校を諦めてもらうしかありませんでした」
「子どもには教育を受けてほしい。でも、そのための収入がありません」
「仕事に就きたくても、自分にできる仕事がないのです」
そんなシングルマザーと子どもたちが直面する課題を解決したい!と立ち上げたのが「カフェビジネスによる生計向上事業」です。
シングルマザーたちがビジネススキルを得て、カフェのオーナーとして自立することで、より良い暮らしをつくり、子どもたちが学校に通えるようにしたい。
そのために、このプロジェクトでは、4つのステップを用意しています。
STEP1 ビジネス研修
カフェを開業するために必要なスキル(会計・調理・衛生管理・接客など)を学ぶ研修を届けます。
今回プロ