私たちNPO法人テツプロ(以下テツプロ)は北海道室蘭市で活動するまちづくり団体です。室蘭市は農業や漁業が盛んな北海道の中で、昔から『鉄の街』として知られる工業の街です。
私たちは、街の代名詞である『鉄』を題材に、地域の活性化を模索しつづけています。
2004年に前身となる任意団体を立ち上げて以来、様々な取り組みをしてきました。小さな子どもでも安全に溶接に挑戦できる制作体験や、鉄の彫刻家によるワークショップ、工場見学バスツアーなどなど。色々な団体や企業の皆さんの協力を頂いたり、知恵を出し合ったりしながらの毎日です。
私たちテツプロの活動の中で大きな柱になっている事業が『ボルタ』の製造販売、そしてボルタ工房の運営です。『ボルタ』とはステンレスのボルトやナットを曲げたりくっつけたりして作るボルト人形のことです。2006年、日本製鉄の門前町・輪西町の商店街に専用の工房を構え 『ムロランワニシノボルト人形ボルタ』として販売を開始しました。
100種類を越えるポーズがあるため選ぶ楽しさがあり、『鉄の街』らしいお土産としても大変好評です。開発当初からの一つ一つ手作業で丁寧に作成する姿勢は現在も変わっておりません。
そしてこの度、アイヌ文化を取り入れた商品開発にトライしています!
アイヌ文化?ボルタ?聞いたこと無いな、というあなた!もちろん知ってるよというあなたも!皆さん、まずはこの画像を見て!ちょっと気になるなぁという皆さん!このまま続きをお読みください!
コロナ禍は『ボルタ』にも 甚大な影響を与えました。『ボルタ』を扱って頂いている取引先は市内外を問わず観光客が多く訪れるお店ばかりです。また、三密を避けるためイベントやセレモニー等の自粛により大口の注文も激減、売り上げが前年比7割以上減少するところまで落ち込んだ月もありました。
そんな中、室蘭市から1時間足らずで行ける白老町に、アイヌ文化の復興・発展のための拠点「ナショナルセンター『ウポポイ』」が、コロナ禍の影響によりオープンを2度延期してスタートしました。工房の運営の先行きが見えない状況の中で、同じ地域から明るい話題が届き、大いに励まされました。
2020年7月ごろ、観光関係者にアイヌ文化に関連するボルタを作ってみてはどうかと勧められました。ボルタがアイヌ文化への理解を深め、身近に感じてもらうきっかけになれば…と、開発に着手。
10月ごろ、公益財団法人アイヌ民族文化財団にご協力をいただき、パッケージに使用する文様に関しては坂下様から、坂下本家100年ものの着物の文様の使用の許可を頂く事ができました。その文様を引用したタペストリーを制作した佐々木様にも、ご協力をいただきました。
また、財団の皆様にはボルタのポーズや小道具などにもご助言をいただきました。
たくさんの人の協力を得て、何度も何度も試作を重ね、今までに無いアイヌ文化を取り入れたボルタが完成しました‼
それが「モルエラニボルタ」
(モルエラニとは、室蘭市の語源の一つとされるアイヌ語であり、「小さい坂」という意味があります。 崎守町仙海寺の前の坂が、由来の地とされています)
写真左から「クリㇺ セボルタ」 「ムックリボルタ」「ムックリナッティ」の3種類を商品化を予定しています。 ※ムックリ・・・楽器 クリㇺ セ・・・狩り
ウポポイでの先行販売は決定しましたが、引き続きのコロナ禍により、先行きは不透明。試作を重ねたため必要になった製作費やデザイン料、パッケージ制作など初期費用の負担は重く、販売店