ピュア・オリーブ・オイル7千リットル がこのままでは廃棄になります。

ピュア・オリーブ・オイル7千リットル がこのままでは廃棄になります。
レストランが時短要請を受けるなか、業務用オリーブオイルが行き場を失っています。一般にオリーブオイルの原産地は地中海沿岸ですので、メーカーに発注してから船で日本に到着するまで約3ヶ月かかります。とても日本での需要の激減に柔軟に対応することができません。このままだと廃棄せざるを得ない状況です。

弊社はイタリアからオリーブオイル、ワインなどを輸入する小さな商社です。2009年よりイタリア・カラペッリ社の業務用オリーブオイルの日本販売代理店を務め、全国のレストラン、ホテルのダイニングなどにお届けしておりました。しかし、このコロナ禍の中レストランの時短営業、営業自粛要請の影響でのお客様から全く注文が入らなくなりました。このまま倉庫に置いておいては今年11月24日に賞味期限を迎え、現在庫7,000リットルをすべて廃棄処分をせざるを得ない状況です。廃棄処分にはお金がかかりますし、何より残念なのは、イタリアから船で1ヶ月半かかって日本にやってきたこのオリーブオイルを使って出来たであろう、多くの美味しい料理が幻となる事です。

オリーブオイルにはグレードがあります。一番上のグレードはエキストラ・バージン・オイルで、こちらは皆さんご存知のことと思います。エキストラバージン・オイルはいわば一番搾りといえるもので、オリーブの実を潰して油と水分に分離しただけのものです。搾油の過程で一切加熱処理をしない唯一の食用油です。一方ピュア・オイルはバージンオイルを取った絞りカスから、さらに精製してオイルを抽出します。ここではオリーブオイルの香りはほとんど残っていませんので、香りづけのために10%ほどエキストラバージンオイルを足してできたもの、それが今回ご紹介するピュアオイルです。

エキストラ・バージンオイルは搾油するときに加熱しない、いわばオリーブの果汁のようなものです。オレイン酸の他、ビタミンが豊富で、香りもとても良いものですが、調理に使う油としては他の油と比較してとても高価なものです。また、加熱すると風味が落ち、ビタミン類も破壊されてしまうので、加熱調理にエキストラバージンオイルを使うのはもったいないのです。そこでピュアオイルの出番となります。イタリア料理において加熱調理にあくまでもオリーブオイルを使う理由、それはオリーブオイルが蒸気化する温度が高く、加熱調理したものがカラッと仕上がるという事が挙げられます。また、揚げ油として使う際にもオイル自身が食材に浸透しにくく、表面に止まりにくいので油っこくならないのです。
 イタリア料理のキモはオリーブオイルをたっぷり使う事です。例えば、スパゲッティ・ボンゴレを作るときはオリーブオイルを一人前大さじ4-6杯も使います。あさりから出たダシを乳化させて旨味をソースに閉じ込めるためにはそのくらい必要なのです。

しかし、この量を高価なエキストラバージンオイルを使用していたのでは一皿がとても高価なものになってしまいます。従って調理するときに、より安価なピュアオイルを使い、最後に香りつけのため、エキストラ・バージン・オイルを少々振るという事がレストランの厨房では一般的となります。また、エキストラ・バージン・オイルの香りはかなり強いので、魚料理などでエキストラ・バージン・オイルのみを使うと、オリーブ・オイルの香りが主張し過ぎてしまうという理由もあります。従って、サラダのドレッシングや、パンにつけて使用するのはエキストラ・バージンオイル、加熱調理にはピュア・オイルと使い分けるのが一般的となります。

 オリーブオイルが他の食用油を使用した場合と仕上がりが全く違うのを実感する簡単でお勧めのレシピがあります。鶏のムネ肉に塩胡椒をし、小麦粉を少々振り、たっぷり目のオリーブオイルをフライパンに敷いて焼くという簡単なものです。表面はカリカリになり、中はふっくら、オリーブオイルによって肉の旨味が十分引き出されて、いくらでも食べられてしまい