はじめに・ご挨拶
はじめまして。田谷の洞窟保存実行委員会です!!
私達は、横浜市栄区にある市登録地域史跡「田谷山瑜伽洞(たやさんゆがどう)」、通称「田谷の洞窟」を次世代に継承するために洞窟のデジタルデータ保存活動を進めています。2017年に任意団体として設立し、 田谷の洞窟を未来の子供たちに残すための様々な活動を、①基礎調査(洞窟を知る)、②地域デザイン(洞窟と地域社会の共生)、③人づくり(持続的な人的資質の発掘)の3つの目的を掲げて、多分野の大学研究者や地域住民と横断的な保存活動を行っています。
活動の3つの目的(軸)
保存活動の様子
田谷の洞窟について
田谷の洞窟は、横浜市栄区田谷町の真言宗大覚寺派定泉寺の境内にある小さな里山地中に、ひっそりと鎮座する巨大な地下文化財です。
【特徴】
① 全長 約570m、拝観経路 約250m。
② 大 小11のドーム状空間を配する3階建て構造を持つ複雑な形状をした人工洞窟です。
③ 洞窟内部には、美しい宗教レリーフが、壁や天井に、約250点(レリーフの数え方によります)彫ら れている巨大な地下伽藍(がらん)です。
④ 日本の三代観音霊場(西国・坂東・秩父観音霊場)と四国八十八観音霊場の移し霊場です。
⑤ 正式名称の「田谷山瑜伽洞」の「瑜伽(ゆが)」とは、YOGA(ヨガ)の語源となる「修行」を意味 する、古の僧侶たちが、修行してきた我が国でも他に類を見ない「修行窟」です。
田谷の洞窟の見取り図とレリーフの例
プロジェクトを立ち上げた背景
私達は、2017年より、洞窟の近隣にある市立千秀小学校から声をかけられ、6年生の「総合的な学習の時間」を活用して田谷の洞窟から学ぶ地域学習の授業連携を行っています。毎年、保存活動に協力している多分野の大学研究者(地形学、環境測量、建築史学、文化財学)の「探究的な地域学習」を連携し、児童たちが洞窟と地域の環境や社会について学ぶ機会を提供し、学びの集大成として卒業制作を兼ねた模型などを作る「制作授業」を提供してきました。この制作授業で制作された模型は、洞窟の基礎調査と理解や、地域社会に寄与するものになっています。この一連の連携授業のプロジェクトを「小大連携プロジェクト」として、児童のシビックプライド(郷土愛)の育成に取り組んで来ました。
2020年度の6年生ともこのプロジェクトを進めていますが、新型コロナウィルス感染拡大を考慮し、今年度は模型制作を断念しました。そこで、担任の先生や研究者、及びアーティストの方々と知恵を絞り、児童たちと洞内レリーフの版画を制作し、洞窟の一般来訪者が洞内を拝観するときに手元でレリーフの詳細を知ることが出来る「洞内イラストガイドカード」を制作することになりました。
真言密教の修行窟である洞窟内は、床も壁も天井も文化財になります。多くのレリーフが施された幾つもの部屋には、詳しい解説板の設置が困難です。宗教美術に詳しくなければ、なかなか理解することが難しいので、手元で見る解説があれば、宗教レリーフに詳しくなくても、誰もが、田谷の洞窟を知ることができる「洞内ガイドカード」の制作を考えました。
このプロジェクトで実現したいこと (「レリーフを彫る」から「版画を彫る」へ)
① 千秀小学校の6年生(全43名)と一緒に、洞内の実物のレリーフのスケッチと観察。
② 「レリーフを彫る」実物観察後に「版画を彫る」という作業を通して、児童達は、実際にこれらの
レリーフを彫った先人達の事を追体験。
③ 児童たちの