失礼な綺麗ぶったものをデリカシーなく押しつけるなんてこともせず、あくまで良いモノ、可愛く洒落たお店を通して障害のある人を取り巻く社会環境、ひいては社会そのものを変えてゆくための闘いを続けている。
これは容易ではない。
だってモノによってはたかだか数百円。つまり数百円から社会を変えるという、とてつもなく地道すぎる試みなんだから!
優しい場所というのは、いつも辛いものだ。
矛盾するようだが、優しい場所であり続けるためには優しさだけではやってられないし、ピンチや矛盾や葛藤といちいち本気で向き合わなければいけないから、そりゃあまあ、キツい。
でもだからこそ面白く、そこでは人が人らしく息づいている。
そんなマジェルカのやり方は、ちょっと時代からズレているのかもしれない。
でもそのズレは、この世知辛い世界に滴り落ちる一滴の、みずみずしい水のようなものだ。
僕たちはそうした本物の潤いを、いつも必要としている。
「障害のある人に対して、障害を理由とする差別や偏見はあるか」
この質問に対し、8割以上が「ある」と答えた調査結果があります。(平成29年度内閣府調査)
とはいえ、私たちがマジェルカに来るお客様と長年接して抱く実感は、障害者に対して意識的に差別感情を持っている人は多くはなく、ほとんどは無意識な偏見(アンコンシャス・バイアス)と無関心ではないかということ。
そして、それを生む最大の要因は、障害者と”身近に接する機会”や障害者を”正しく知る機会”が極めて少ないことだと考えています。
2011年にマジェルカを始めた私が、障害者のモノづくりの世界に飛び込んでみると、彼らの働きに対する評価が不当に低いことに驚きました。
障害者施設で、製品作りやその他の生産活動に携わる障害者へ支払われる工賃は、当時で月額13,742円(厚生労働省 就労継続支援B型事業所の平成23年度工賃実績)、それから10年経った今でも16,369円という低さ(令和元年度工賃実績)です。
”福祉バザーや福祉ショップで安過ぎる値段で売られている自主製品は、障害者の仕事や能力に対する低い評価の裏返しなのではないか・・・。”
これは深刻な課題であり、そもそも福祉の側が障害者の能力や働きを正しく評価し、それをもっと社会に発信するべきではないかと強く感じています。
上記のような課題を解決する方法こそが、福祉(ウェルフェア)のフェアトレードである 『ウェルフェアトレード』だと私たちは考えます。
昨春のコロナショックまでは、吉祥寺の店舗には毎日沢山のお客様が来られていました。
その中には全国から視察目的で来られる福祉関係の方もかなり多く、マジェルカは『自主製品のショールーム』のような機能も果たしてきたといえます。それらの方からメールや電話も含めて相談を受けることも日常茶飯事でした。
(ちなみにマジェルカは、各地の「福祉ショップ」の多くのように、自主製品販売活動に対し行政からの委託や補助金等は一切受けていません。)
また、障害のあるお子様がいらっしゃる親御さんからは、お客様であふれる明るい店内を見て「このお店が、将来の希望になります!」といったお言葉をいただくことも。
「マジェルカのようなショップをやりたい!」というご相談も次第に増え、取引施設宛てにも「マジェルカで見た商品をうちでも扱いたい」という連絡が入ることも増えていると聞きます。
実際、マジェルカを立上げた当時は殆どなかった自主製品のセレクトショップがオンラインを中心に数多く生まれています。
それと共に”ウェルフェアトレ