生物社会の進化と多様性を探る「坂上昭一評伝本」出版実現にご支援を

生物社会の進化と多様性を探る「坂上昭一評伝本」出版実現にご支援を
このプロジェクトは、昆虫社会の多様性とその進化を追求した坂上昭一(1927~1996)の傑出した研究哲学とその成果を、後継者達が評伝としてまとめた本の出版を実現させるために立ち上げました。SDGsにも掲げられている生物多様性の内奥を広く知らせることにもなる本書出版への支援を呼びかけます。

はじめに・ご挨拶

 SDGsにおいては気候変動や社会・経済問題の解決に注目が集まっていますが、生物多様性の大切さがそれらの陰に隠れがちに見えます。生物多様性は一度失われると二度と回復することができない地球の貴重な宝物です。

 この生物多様性という言葉が生まれるはるか前の1950年代からハチ類を中心とした多様な昆虫各種を対象にその見事な適応放散と社会構造の進化を明らかにしたのが坂上昭一(北海道大学名誉教授、1927年~1996年)でした。

 ハナバチ類の形態分化や系統分類はもちろんのこと、それらが示す社会行動を透徹した視点のもとで粘り強く観察・分析するこの研究スタイルは「坂上学」と呼ばれ、日本国内だけでなくブラジルや東南アジアにも広がる多くの後継者に受け継がれています。

 ハナバチ* 、アリ* 、スズメバチ* 、アシナガバチ* 、チョウ、アブ、ブユ、アブラムシ* 、好蟻性昆虫、シロアリ* 、コオロギ、トンボ、トビムシ、ダニ* 、ザトウムシ、さらにはシギやツル(*何らかの社会性を包含)を研究対象に、行動、社会、種間関係から群集の構造・機能までの研究を発展させてきた坂上学の後継者25名が執筆陣を構成し、生物多様性の本質に迫るのが、この本『ファーブルを超えて―坂上昭一の昆虫社会学』です。

 このプロジェクトは、本書の出版を実現することで坂上学の実際の内容・方法やその評価を多くの生物研究者や自然愛好者に読んでいただくことにより、生物多様性の内奥とその大切さを知っていただくことを目指して2021年8月にスタートを切りました。

 これは、坂上門下生のうちの3名(山根、松村、生方)が、坂上没後25年を3年後に控えた2018年秋に執筆者を募って以来活動していた評伝本編集幹事会に、やはり門下生である山本が基金幹事として加わったチームが運営するプロジェクトです。

このプロジェクトでは、出版を実現することだけではなく、生物多様性研究、中でも坂上学を継承している分野での後継者の開拓にも貢献したいと考えています。

 皆様からのこのプロジェクトへのご支援を心よりお待ちしています。

「坂上昭一評伝本」出版プロジェクト       
代 表 山根 爽一 (茨城大学名誉教授)   
副代表 松村  雄 (元農業環境技術研究所) 
幹 事 生方 秀紀 (北海道教育大学名誉教授)
幹 事 山本 道也 (流通経済大学名誉教授) 

写真:在りし日の坂上昭一の日常(左上、学生時代;右上、ミツバチの社会行動を観察したハチ小屋;左下、インドネシアでのハチ野外調査(左が坂上 );右下、北大植物園でのコハナバチの継続観察(左が坂上))
このプロジェクトで実現したいこと

1. 書籍の出版

タイトル: 『ファーブルを超えて―坂上昭一の昆虫社会学』

概要:希代の昆虫社会学者、坂上昭一の研究手法、研究業績、人物評価を、多彩な後継者たちが評伝にまとめ、今後の生物多様性研究へのヒントを提供する書籍の出版を実現したいと思います。

本の構成:
 第1部では、坂上昭一の研究姿勢を間近で見てきた二人の研究者が、坂上の出生から逝去までの生涯と研究遍歴を紹介し、その成果を明らかにします。
 第2部では、気鋭の動物社会学、進化生物学の研究者7人が、坂上の研究スタイル、生物多様性解明への取り組みについて独自の観点から評価しつつ、今後の方向性にも言及します。
 第3部では、共同研究者がハチ類研究の過程で坂上が発揮した洞察力、構想力、分析力などを披露し、各自の研究の発展を振り返ります。
 第4部