マレーグマは昆虫を探すために土壌を掘り返します。この行為は畑を耕すのと同じ効果をもち、森林の土壌中の養分を循環させます。
〜森のお医者さん〜
マレーグマは木を腐敗させるシロアリを捕食し、樹木の健康を維持してくれます。マレーグマがいなくなると、シロアリの数は爆発的に増え、多くの樹木が被害を受けてしまいます。
〜森の大工さん〜
マレーグマは樹木の中の昆虫を食べるために、鋭い爪で幹を裂き、樹洞を形成します。それは、後にサイチョウやムササビの巣として使われます。マレーグマは他の動物の巣を作ってくれる存在です。
そのため、マレーグマを保護することは重要です。
コロナ禍の影響
BSBCCは毎年国内外から多くの観光客が訪れ、入園料が重要な収入源となっていました。しかし、コロナの状況下では施設の臨時休業を余儀なくされ、チケット収入はゼロとなりました。
[Points scored] (出典:BSBCC)
日本でマレーグマ保全のためにできること
私たち2人は大学でマレーグマの研究を行っています。ボルネオ島にも実際に行き、熱帯雨林とマレーグマの保全の大切さを肌で感じました。
本来でしたら、BSBCCの協力の下、マレーグマの保全に関わる調査を現地で行う予定でしたが、新型コロナウィルスの影響で渡航が困難になりました。
日本からマレーグマ保全のために何かできることがしたいと考えた結果、BSBCC Japanとして活動し、BSBCCの支援をすべく、今回のプロジェクトをはじめました。
BSBCCでは主に以下の活動を行っています
①保護
生息地破壊や、違法で劣悪な飼育環境により行き場を失ったマレーグマを保護しています。BSBCCは広大な森林を敷地内にもち、マレーグマがのびのびと過ごせるよう、野生に限りなく近い環境を提供しています。
②リハビリテーション
エンリッチメントや、敷地内の森林で自由に木登りや採食をすることにより、野生本来の行動の発現を促し、保護されているマレーグマが野生に戻れるようリハビリをします。リハビリが完了したクマは森に帰って行きます。現在までに、10頭のマレーグマの野生復帰に成功しています。
③教育
マレーグマと熱帯雨林の保全には教育が欠かせません。施設内にはマレーグマについて学べる教育センターがあります。また、地元の学校やプランテーションへの出張授業、ボランティア受け入れ、世界中の人が参加できるバーチャルツアーなどを開催しています。
④研究
マレーグマはクマ科の中で最も研究が遅れている種です。保全に研究は欠かせないので、BSBCCではマレーグマの研究も積極的に行っています。
これらの活動には、飼料費や施設管理費はもちろん、医療費、リリース費、人件費など、多くの資金を必要とします。44頭の飼料費だけでも1ヶ月約40万円、1頭のリリースは約35万円かかります。
現在最低限の活動費は皆様からの支援金で賄っています。BSBCCホームページでは寄付を常に受け付けていますが、日本からの送金はシステムの都合上難しくなっています。
2019年の収入の68.2%はチケット収入であったのに対し、2020年は約6ヶ月間(3ヶ月は国内観光客のみ)のオープンにより、チケット収入は17.8%に激減しました。昨年の収入の半分以上は皆様からの寄付金で成り立っています(出典:BSBCC年間報告書)。2021年上半期のチケット収入は0%です。
今回のプロジェクトを行うことで、まずは日本の皆様にマレーグマの現状とBSBCCの活動を知っていただきたい。そ