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こんにちは!東京農業大学 野生動物学研究室に所属する、須崎菜緒と武田茉由子です。
page1image28760992須崎菜緒(左)と武田茉由子(右)
ボルネオ島マレーシア・サバ州には、マレーグマを保護し野生復帰を目指す施設、ボルネオマレーグマ保護センター、Bornean Sun Bear Conservation Centre(BSBCC)があります。私たちはBSBCCを日本の皆さんに知ってもらい、日本からマレーグマの保護活動に貢献したいと思い、BSBCC Japanとしての活動をはじめました。
マレーグマは東南アジアの熱帯雨林に生息する、世界最小のクマです。
手足が長く木登りが得意で、約30cmにもなる長い舌を器用に使って蜂蜜や果実、昆虫などを食べます。森林伐採、密猟、違法なペット取引等が原因で、マレーグマの生存は脅かされています。IUCNレッドリストには、2007年から絶滅危惧Ⅱ類として登録されています。
そんなマレーグマの未来を守るべく設立されたのがBSBCCです。
page2image28732384BSBCCセンター長ウォン博士(中央)とスタッフの皆様 (出典:BSBCC)
BSBCCでは現在44頭のマレーグマを保護しています。センターは広大な森林を敷地内にもち、自然に限りなく近い環境をマレーグマに与え、野生復帰を目指したリハビリ活動を行っています。
BSBCCのホームページ: https://www.bsbcc.org.my/index.html
今回のプロジェクトはBSBCCと連携して行い、いただいた支援金はBSBCCの活動に使わせていただきます。
パーム油をご存知ですか?
パーム油とは、アブラヤシから採れる植物油のことをさします。パンやインスタント麺、チョコレートなどの食品から、洗剤、化粧品、歯磨きなどの日用品にまで幅広く含まれており、日本人の生活から切り離せない存在です。
パーム油は森林伐採の大きな原因
パーム油の原材料であるアブラヤシは、熱帯地域で育つ植物です。大規模なアブラヤシ農園(プランテーション)開発のために、熱帯雨林は次々に伐採されています。全世界のパーム油の生産量の8割以上はインドネシアとマレーシアの2ヵ国に集中しています。
ボルネオ島でもパーム油生産が盛んに行われており、1973年から2015年の40年足らずで168,500 ㎢もの熱帯雨林が失われています。
日本に住んでいる我々も、熱帯雨林の消失に関与してしまっているのです。
熱帯雨林(左)とアブラヤシプランテーション(右)の境界(撮影: 松林尚志)
様々な植物が生い茂る森林とモノカルチャーの違いがはっきりと見てとれます
ボルネオ島における森林面積の減少 (出典:BSBCC)
熱帯雨林とマレーグマ
熱帯雨林の減少により、そこに生息する多くの生き物が行き場を失っています。
マレーグマもその1種です。マレーグマの個体数は過去30年間で30%減少しており、今後も減少が続くことが予想されています。しかし、マレーグマは森林の維持に欠かせない存在であり、マレーグマが姿を消すと、その地域の生態系バランスが崩れてしまいます。
〜種子の運び屋さん〜
ボルネオの熱帯雨林には大型の樹木・種子が多く存在します。そのような種子は、中大型哺乳類が食べ、排出することによってのみ新たな場所へ運ばれます。マレーグマは大きな果実も食べる大型哺乳類として、森を更新させる重要な役割を担っています。
〜森の農家さん〜