し合いをした結果、作りたい珈琲のイメージが大きく2つ浮かびました。
1つ目は「島の柑橘」をテーマにした珈琲です。瀬戸内の温暖な気候に恵まれた大崎上島は、みかんやレモンといった柑橘が育つフルーツの島です。知り合いの農家さんからみかんを食べきれないほどおすそ分けしていただくことは日常茶飯事。最近ではIターンで島に来て農業をされる方も増えていて、島の農業はさらに盛り上がっています。
そんな大崎上島の代表とも言える柑橘をもっと多くの人に知ってほしい。そんな思いから生まれた1つ目のアイデアです。柑橘の爽やかな味と、日の出とともに作業を始める農家の方々の元気ハツラツさを表現した、朝にピッタリの珈琲をイメージしています。
2つ目は「島の温かい空気感」をテーマにした珈琲です。
大崎上島に住む私が感じる島の一番の魅力は、島の空気感そのものです。豊かな自然に囲またこの島で生きる人々は、心も豊かで穏やかです。島には優しい人たちがたくさんいます。また、島を吹き抜ける風はとても心地よく、夕日に染まる海も私たちの心を整えてくれます。そんな、島に溢れる温かさをひとつの「形」にして、大崎上島に遊びに来てくださった方にお土産として連れて帰ってもらいたいという想いから生まれたのがこのアイデアです。
お土産というと、その土地で有名な食べ物や観光地をテーマにした商品が多く、その土地の雰囲気をテーマにしたものはほとんどありません。しかし、大崎上島の温かい空気感は、確かな島の魅力です。その魅力を、ひとつの珈琲で表現してみたいと考えました。
深みや優しさのある、一日の終わりにピッタリの珈琲をイメージしています。
2つのコンセプトが決まった後、それぞれのコンセプトを表現できるような島の風景のパッケージを考えました。そして、実際に島をまわって写真を撮りに行きました。写真をもとに、画家の藤原さんにパッケージのイラストを描いていただく予定です。
今回のこの珈琲開発は、高校生以外にも2人の専門家の方が一緒に取り組んでくださっています。1人目は、東広島市安芸津町にある「安芸津歳實コーヒー」のオーナー、歳實勲さんです。この安芸津歳實コーヒーは、2018年夏、記録的な豪雨災害に見舞われ、以前営まれていた小さな焙煎工場を店舗改修される形で生まれ変わりました。歳實さんは、安芸津湾や三津湾に浮かぶ7つの島の名前がつけられている珈琲豆「安芸津七島シリーズ」の開発なども手がけていらっしゃいます。
2人目は、水墨画家・藤原六間堂さんです。岡山県ご出身の藤原さんは、中国蘇州教育学院芸術科水墨画名誉講師や山陽新聞カルチャー教室の講師を勤められたり、 著書・画集「水墨画の上達法」「風景の彩り」「水墨図案500選」(日貿出版社刊)などを出版されており、様々な分野でご活躍されています。
初めて安芸津歳實コーヒーを訪れた時、お二人が一緒に手がけられたドリップ珈琲を見せていただきました。それは、歳實さんが安芸津湾や三津湾に浮かぶ島々をイメージして焙煎された珈琲豆を、藤原さんが水墨画で描かれた各島をモチーフにしたパッケージで梱包したものです。「このようなドリップ珈琲を大崎上島で高校生と一緒に開発したいんです」とお話すると、「素敵な取り組みなのでぜひ協力させてもらいます」と大変快く引き受けてくださりました。<安芸津歳實コーヒーにて販売中のドリップ珈琲>
<ただただ高校生応援>
1,500円(数