細な意匠を施した建物に出雲流庭園を配したその佇まいは、松江の料亭文化の華やかなりし時代の面影を今に残す、まさにシンボル的な存在でありました。
全室の中で庭の眺めが一番良い「松の間」は、現在
ダイニング「松の間」としてお客様にご利用頂いている。
ダイニング「松の間」
しかしながら、昭和末期頃からは時代の変化に翻弄され、廃業・解体の危機に瀕しました。
そのため、平成17年(2005年)に「蓬莱荘」を保存・再生するための<蓬莱荘再生プロジェクト事業>がスタートし、当初よりプロジェクトに参画していた弊社(魚一)が管理運営にあたって参りました。
ところが、この度のコロナ禍により社会環境が一変。
ご利用客が激減し、「蓬莱荘」の佇まいの存続が危ぶまれる状況となりつつあるため、「蓬莱荘」の維持存続を図ることを目的としてクラウドファンディングを立ち上げることと致しました。
本玄関入口の床の間
「無松古今色」
2階「もみじの間」の格天井・黒柿の欄間
本館と別館をつなぐ渡り廊下は池の上に。
松江大橋を模して擬宝珠の欄干が。
天井は船底天井。
池の上に浮かぶように建つ茶室
編み笠天井
夕暮れ時、本館を庭側から。
昔「百畳敷き」と呼ばれた別館の広間は、現在4部屋の個室に改装されている。
夕暮れ時、庭側からの眺め。
<資金の使い道・スケジュール>
※ 一部老朽化した店舗内外の修繕費や売上向上のための資金に。
大規模な改修工事をしてから15年が経過し、「蓬莱荘」の建物内外の修繕や改修が必要となっています。
また、コロナ禍によりご来店のお客様が減少する中、魚一が創業以来続けてきた「仕出し料理」(デリバリー・テイクアウト)や約10年前の平成22年から取り組んでいるインターネット通販などの受注が増えました。
売上げ確保のために、それらの一層の充実を図る必要があるため、新たな衛生管理基準となるHACCP対応型の厨房設備に改修し、また、新商品開発と販売促進・販路拡大のための諸費用や、仕出し・通販部門に従事してくれるスタッフなどの人材育成をはじめ、ご利用いただくお客様を担当してくれるスタッフ皆が働きやすい環境づくりに充当させて頂きたいと思います。
「百畳敷き」の大宴会場
後の昭和26年、旅館となる際に個室4部屋に改修された。
百畳敷きの大広間から見えた旧庭園
最後に
日本のベニスとも称される水郷松江に生まれ、宍道湖に昇る朝日、沈む夕日、また、松江のみならず出雲地方の歴史・伝統・文化・景観、食材をこよなく愛し、それらを誇りに思っております。そして、料理はもとよりこのまちや地域のすばらしさを後世に残し伝えたいとの熱い思いで人生の2/3以上の日々・時間を費やして参りました。
残念なことに、ふと気がつくと、松江市内に現存する料亭は弊社(魚一)が管理運営する「蓬莱荘」のみとなっていました。
コロナ過が長期化し、飲食関連業種が疲弊する中で弊社も同様にダメージを受けており、今後も楽観は許されない状況にあります。
そのような環境下に在りながらも、松江の料亭文化を絶えさせることの無いよう料亭部門を維持しつつ、飲食に携わる事業者として今後に活路を見出すべく新業態への参入や充実を実現し、何としても《 松江市内に現存する最後の料亭様式の伝統と文化 》を後世に残し、その存続を図っていきたいと思います。
何卒多くの皆様からご支援を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。
店舗の詳細情報(住所・営業時