オニバスが咲く自然環境と稲作の文化や歴史を未来の子供たちにつなげていく

オニバスが咲く自然環境と稲作の文化や歴史を未来の子供たちにつなげていく
環境省指定絶滅危惧植物オニバス。北京原人の時代からの生き残りで100年後の生存確率は3%。現在生育している池沼は日本中で100ケ所ほど。生育条件が難しく、前池のように毎年咲き続けている池は極めて希少だそうです。オニバスが咲く生育環境を守り、開花情報等を広報して、心地よく見学できる環境を提供します。

水質汚濁により絶滅寸前となっていました。稲作の村で、里人と共存して暮らしていたコウノトリやトキは、いったんは日本から姿を消してしまい、ホタルやゲンゴロウも、この頃はメダカでさえ姿を見かけなくなってきました。

咲き始めたばかりのころのオニバス まだオニ葉はやわらか

4 平成19年(2007年)の環境省が滅危惧種「レッドリスト」の指定をする調査では、オニバスの生育が確認された池や沼は日本中で61ケ所ありましたが、毎年咲き続けているのは前池だけだろうということでした。しかも移植や管理生殖された種ではなく、何世代にもわたって、この池で受け継がれてきた自生種だということでした。それは、偶然でも、奇跡でもなく、稲作をはじめた昔から先人たちの生活を支えた稲作文化、瀬戸内地域のため池の保水管理の営みが、オニバスにとっては、気候条件も含めた最適の生育環境だったからでした。

5 絶滅危惧種指定後、開花期には、善通寺市の広報や地元新聞・放送局などで報道されることが増え、市民・住民の関心も高まり、オニバスの希少性や特殊性が徐々に知られてきました。15年前の絶滅危惧種の指定時の調査では、香川県内で生育が確認された池は7ケ所でしたが、令和になり、オニバスの咲く池は20ケ所ほどに増えました。全国的もオニバスが咲く池が100ケ所ほどに増えたそうです。それでも、まだまだオニバスを知っている人は多くはありません。地元の小学校区に暮らす住民でさえ、「オニバスは外来魚のブラックバスの鬼のようにデカいヤツ」と思っている人が多数派だというのが現実です。

オニのようなゴツい葉をつき破って花を咲かせるので「オニバス」という説も《A》

参考までに オニバスの希少性は・・・・・

2020年時点での絶滅危惧種は 動物昆虫1446種、植物2270種 計3716種あります。
令和の世となり、オニバスが咲く沼や池は、日本全体で100ケ所程度が確認されています。

代表的な絶滅危惧種の2020年生育推定数は…..
コウノトリ220羽ほど、トキ100羽ほど ヤンバルクイナ1500羽 丹頂鶴1250羽 イリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ各100頭ほど。オニバスが咲く池や沼は全国で100ケ所ほど。

オニバスの種子はドングリのような固い皮に包まれていて、生育できる「環境がお気に召すまで」は何十年でも池のドロの中で眠り続けているそうです。

6 善通寺と稲木前池

オニバスが毎年咲く前池は、香川県善通寺市の平野部、JR土讃線の金蔵寺駅のほど近くにあります。電車の車窓からは池の案内看板も見えます。大人気のJR土讃線アンパンマン電車 池から東方200メートル 後ろの山は讃岐富士(飯の山)

※興味のある方は、グーグルやヤフーなどで検索をしてみてください。
稲木北部自治会集会場の住所で 善通寺市稲木町1154-1 

7 オニバス保存会

1)平成16年、前池オニバスが善通寺市の天然記念物に指定され、池の保全管理する水利組合と自治会が「オニバス保存会」を立ち上げ、全員総出で草刈等の維持管理作業や水質保全の作業を行っています令和3年2月の草刈り作業に参加した保存会の会員

池堤の草を刈り、下草を焼く

オニバス保存会の歩み

平成14年(2002年) 前池が満濃池や鳴門うず潮などと並んで、四国のみずべ八十八ケ所に選ばれる。オニバスの存在や価値が市民にも知られるようになる
平成16年(2004年) オニバスが善通寺市で初めて唯一の市の天然記念物に指定される。池の保全を担う水利組合と稲木北部自治会が保存会を設立