台を築いていきたいと考えています。
また一方で、数年前から家庭を持ち、この町で暮らしていく中で気づかされたことがあります。それが、子どもたちが波佐見焼を知る機会が少ないということ。
かくいう私も、帰郷するまで波佐見焼のことを知らなかった一人でした。また、同時に職人のおじちゃんからもらった、「次の世代の子どもたちにかえしてやってくれ」という言葉も思い出し、子どもたちの未来を真剣に考えるようになりました。
そこで、町の子どもたちが波佐見焼の魅力を知り、思い出に残るような場所をつくりたい! と決心。どんなものが子どもたちにとって楽しめるのか、この町にないものがあるかなど調べました。
そういえば、グラウンドはあるのに波佐見町には、子どもたちが歩いて行ける距離でのびのびと遊べる公園がない。公園なら、町の子どもたちが楽しく遊びながら波佐見焼に触れる機会がつくれるのでは……?
いろいろと調べる中、「公園」というアイディアに思い至った私は、それから公園の資料を探し、友人などたくさんの方々から意見をもらいつつ、本プロジェクトを立ち上げました。
2021年9月19日(日)にOPENするHIROPPAの完成イメージ~2021年9月19日(日)にOPENするHIROPPAの完成イメージ~
実は、本プロジェクト立ち上げの背景には、先ほど説明した「新しい文明を築く」ということも関係してきます。
「公園『HIROPPA』という誰に対してもオープンな場所が、『この町に必要な文化』を自発的に取り込める土台になりうるのではないだろうか?」と、「公園をつくる」ことと「新しい文明を築く」ことが奇遇にも結びついてきたのです。
波佐見町にはない異文化「スケボー」を例に考えてみましょう。公園にスケボーレーンを設置し、町の子どもたちがスケボーを練習できる環境を整えることで、町の子どもたちは新たに「スケボー」という文化に触れることができるようになり、未来への可能性が広がっていきます。
スケボーの他にも、波佐見町にはない文化を取り込むことができる「場所」をつくることで、多くの人が異文化に触れ、新たなスタイルを生み出すことが可能になります。新しい文明を築くきっかけの場所として、公園「HIROPPA」をつくることが必要なのではないかという考えに至りました。
2020年予想しなかったコロナ禍…このまま公園「HIROPPA」をつくっていいのか??
公園建設計画が始まった矢先、予想だにしなかったことが起きました。新型コロナウイルスの流行です。
人との接触が安易にできない時代となってしまった今、果たして公園をつくる意味があるのか。このまま公園の計画を進めていいのか頭を抱えましたが、長年の夢をここで終わらせたくありません。コロナ禍で、なおさら遊ぶ楽しみが少なくなってしまった町の子どもたちのためにも、計画を進める決意をしました。
公園「HIROPPA」が目指すのは、町の子どもたちがいつか大人になって「この公園は、波佐見焼が大好きな人たちが私たちのためにつくってくれた思い出の場所なんだよ」と未来の子どもに伝えたくなるような場所であり、本プロジェクトはいわば、未来を担う子どもたちのための投資です。
ただ、理想的な場所をつくるには億単位の費用が発生します。なぜなら、すべての人に楽しんでいただくためのバリアフリー設計はもちろん、とことん細部や遊具にこだわっているからです。さらに公園は、非営利活動で収入がない上、維持費が発生するため、すべて自己資金だけで運営していくには限界があります。そのため