げつけた。左手だったが、地響きをたてて突き刺さり大きな石が動くほど揺れた。ここを今「石動」と呼んでおり、石の杖を「鬼の杖」と呼んでいる。
やがて西の方へまわった桃太郎が「赤鬼めー、覚悟しろー」と叫ぶと鬼は物凄い唸り声をあげて右手に持っていた石杖を桃太郎の方へ投げつけた。今度は勢い余ってびゅーんと桃太郎の頭上を飛び越して笹子の白野と原の境に突き刺さった。これを今でも「鬼の立石」と呼んでいます。
石杖をなくした鬼は、岩石を持ち上げて投げつけたり蹴飛ばしたりして暴れ狂った。そのため岩殿山の頂上近くにあった大きな岩石は、南の桂川に転がり落ち、山の形が変わるほどだった。
鬼は頑張ったが、追い詰められて、遂に東にある徳巌山に逃げようと片足をかけたところ股が裂け、とうとう死んでしまった。このとき飛び出した腸は固まって岩石となり下の畑の隅に転がっていて村人は「鬼の腸」と呼んでいました。そのとき流したおびただしい血は、土の中にしみこんで、今でも赤い血のような土が岩殿の子神神社のあたりから沢山出てくるので「鬼の血」と呼んでいる。
「郷土の昔話」 元大月市賑岡公民館長 故石井 深・編
○このプロジェクトをやろうと思った理由
桃太郎研究家故小久保桃江氏(1902~2006)は、戦前からこどもの健全育成活動を起こし、子どもに幸福をやさしく説く方法を探し続けついに桃太郎のお話しが最適であることにたどり着きました。
桃太郎は健康、猿は知恵、犬は仁徳、雉は勇気、きびだんごは富を象徴してこの五つが揃えば人は幸福になると説いています。「桃太郎話」の研究は、まさに世界人類の平和・幸福への学問であるということなのです。
小久保桃江氏は 「桃太郎話を世界中にひろめて平和な世の中にしたい」と1990年に日本桃太郎の会を設立しました。以降全国にいるたくさんの桃太郎愛好家・研究者にその活動が広がり、1997年から 日本各地で桃太郎サミットを開催し交流を深めており、 2008年(平成20年)に「日本桃太郎会連合会」が発足しました。
サミットでは日本各地の桃太郎会の活動発表を始め、子供たちの研究発表、落語やバラエティー、桃太郎の歴史発表など、みんなで「桃太郎話」を学び楽しんおります。
我々も各地のサミットへ参加し全国の桃太郎会の方々との交流していく中で、
「桃太郎話」は楽しむだけではなく、日本の文化として後世に伝承してゆかなければならない貴重な財産だという思いに到り、2021年10月16日に第18回桃太郎サミットin大月を開催することを決定しました。
(写真は2019年奈良県田原本町で行われた第17回桃太郎サミット、中央は参加した小林大月市市長)
○このプロジェクトで実現したいこと
古来から口承で伝えられてきた「桃太郎話」は、その後絵巻物・草双紙・国定教科書・絵本などにも登場し、日本国民の生活の中に深く根付いています。
日本で最初の長編アニメも桃太郎で、能や歌舞伎、宝塚歌劇団でも公演されており、幼稚園・保育園などの演劇でもたくさん取り組まれています。そして2019年には中学校の道徳の教科書に「桃太郎話」が掲載され、最近のテレビコマーシャルやエンターテイメントでも桃太郎があちこちに登場しているのはみなさんもご存知でしょう。
この日本人の誇れる「桃太郎話」をみんなで学び、「桃太郎話」と桃太郎の絵巻物を代表とする桃太郎に関する貴重な資料の保全と活用、日本昔話「桃太郎」を日