「よせもの」という伝統技術を残したい。ジュエリー作家がつくるインテリアジュエリー

「よせもの」という伝統技術を残したい。ジュエリー作家がつくるインテリアジュエリー
「ろう付け」という溶接で金属パーツをつなぎ合わせコスチュームジュエリーを作る伝統技術「よせもの」。一子相伝でしか伝わらなかった技術のため、ほとんど職人が残っていません。型から量産できるキャスト製品が多い中、匠の技を残すため、「よせもの」でインテリアジュエリーという空間を彩るオブジェを開発しました。

、石を見てからそれを取り巻く金属部分のデザインをしていました。
しかし、1892年にスワロフスキー社の創設者ダニエル・スワロフスキーがガラスの研磨を同じ形、同じサイズで大量に生産できる機械を開発したことにより、根本的にこの手のジュエリー製作の順序が変わりました。
つまり、同じ形、同じサイズがあるなら、事前にそのクリスタルガラスを留める土台(ツメ)を作っておけば良いという考え方になりました。すでに、金属をプレス加工する技術はあったのでツメも大量生産できました。しかし、それでは、石が1つに対して、ツメが1つ。デザインの面白さがないため、それらをさまざまな形に並べてデザインする必要が出てきました。
数個なら、職人技で並べて溶接ができますが、それらを数十個並べて溶接することはとても困難です。そこで、それらを様々な方法で溶接する「よせもの」技術が発達したのです。しかし、完成したものは、同じでも、各国によって製作工程は違うようです。日本では、日本独自の進化をとげ、泥上の「寄せ粉」を使う作り方が一つの方法となっています。
また、上記の発達の歴史から、「よせもの」は、クリスタルガラスを使ったコスチュームジュエリーを作る技術と思われてしまいますが、金属パーツだけを並べてろう付け(溶接)する作品をつくることができるので、もっと他の業種にも利用できると考えています。

目指した新しいジャンルは生活空間
「おうち時間」に彩と癒しを与える「インテリアジュエリー」Largeサイズ(試作品)世界中の人がコロナ禍で外出が少なくなったことと思います。そのことにより、ファッションや旅行などと親和性の高いコスチュームジュエリー(アクセサリー)、また、結婚式で使われるティアラやネックレスなどのブライダルジュエリーの需要が激減しました。そのため、「よせもの」技術を使ってアクセサリーをつくり続けることがほとんどできなくなり、技術を広めるどころか、自身の活動を継続することも難しくなってきました。(経営者として、力不足でありましたが、せっかく育てた職人も手放さなければならないこととなってしまいました。)

そこで、「よせもの」技術でできる他業種への参入を考え、「おうち時間」が増える中、家の中でも常に身近に感じていただける、インテリアジュエリーという名前で、空間を癒す真鍮のオブジェ「真鍮のtree」を作りました。
お花や小さいオブジェと一緒に飾っても可愛いですね!(Largeサイズ)
PC周りに飾ると、仕事の合間に癒されます!(Smallサイズ)
SML-setで、見るたびに配置を動かしたくなる愛おしさ☆(SML-set)
設計事務所の方必見。模型と並べると癒されます♪(SmallとMediumサイズ)
キッチンの対面カウンターで毎朝、ご対面(Largeサイズ)
カフェテーブルで森林浴気分。伝票用の重しとしても♪(SmallとLargeサイズ)
真鍮のtreeはすべて1点もの

「真鍮のtree」は、単純な細い真鍮パーツを旋盤加工で作り、そのパーツを木のシルエットになるように一本一本丁寧に「寄せ粉」という泥の上に人の手で並べていきます。それらのバラバラなパーツの接点や接線だけを溶接(ろう付け)で繋ぎ止める「よせもの」技術で作り上げるので、すべての作品が1点ものです。

また、その木のデザインの中に、輝きの息吹を与えるように、スワロフスキー・クリスタルの輝きを配置し、インテリアに潤いと彩を与えたデザインになっています。
「よせもの」に使用するパーツは機械加工のパーツをつかっていますが、形は人の手で