「よせもの」という伝統技術を残したい。ジュエリー作家がつくるインテリアジュエリー

「よせもの」という伝統技術を残したい。ジュエリー作家がつくるインテリアジュエリー
「ろう付け」という溶接で金属パーツをつなぎ合わせコスチュームジュエリーを作る伝統技術「よせもの」。一子相伝でしか伝わらなかった技術のため、ほとんど職人が残っていません。型から量産できるキャスト製品が多い中、匠の技を残すため、「よせもの」でインテリアジュエリーという空間を彩るオブジェを開発しました。

装身具を作る絶滅危惧の工芸技術「よせもの」を未来に残したい。これまで装身具しか作っていなかった業界を再考。新しいジャンルにチャレンジして、技術を残す取り組みに支援をお願い致します。

「よせもの」という技術があることを知っていますか?

辞書で調べると、料理法の「寄せ物」という言葉は出てきますが、ジュエリーを作る技法としてはほとんど伝えられず辞書にも載っていない技術です。

よせもの作品「花火」ペンダント
透け感、軽さ、輝き(クリスタルガラスの周りに金属がほとんど見えないつくり)が魅力

「よせもの」(寄せ物)は、文字のごとく、さまざまなものを「寄せ」集めて、飾り「物」をつくる、昔からある基本的な技術です。とくに、金属のパーツを「溶接」して細かな装飾品を作る技術として継がれてきました。

よせもの(寄せ物)|よせ作業「よせもの」|寄せ作業
寄せ粉という泥の上にパーツを並べパーツを固定します

しかし、戦後、一つの原型から大量生産を可能にするキャストという技術が発達し、ひとつひとつ作り上げる「よせもの職人」は、時代の波に飲み込まれ、ほとんどいなくなってしまいました。

また、少なからず残っていた「よせもの職人」は、その希少性と技術の難しさから、あまり他人に伝えることをせず、親族で受け継ぐ「一子相伝の技」となり、とくにティアラなどの立体物を「よせもの」で作ることができる職人は都内でも数人と言われています。

ろう付け(溶接)
接点や接線のみを特殊な銀線を溶かしながら繊細にろう付けします

今回、はじめて、クラウドファンディングにこの実情を伝えさせていただく私は、父の代からアクセサリー製造メーカー「有限会社アトリエ・エイト」を引き継ぐ2代目の高橋正明と申します。

父からは、「こんなに儲からない仕事を継ぐ必要なない」と言われ、大学からは建築学科へ入学し意匠設計を学び、大学院卒業後、フィンランドの巨匠建築家、ユハ・レイヴィスカの事務所で所員として仕事をしていました。帰国後、自身のデザイン事務所を持ちながら、子供の頃から手伝っていた父の会社も手伝うようになりました。
手伝っている間に、さまざまな取引先から、「「よせもの」ができるところが少なくなっていて高齢化が進んでいる。」「「よせもの」を知っているデザイナーもほとんどいないので企画も出せない」などと言われ、「日本のものづくりの消滅」という危機の一端を感じました。

そこで、私にとっては当たり前の「よせもの」とは、なんなのか?ということを調べ始めたところ、上述のように技術が受け継がれなかったことがわかってきました。

そこで、「よせもの」技術と作品の認知・普及を目的に、2012年に自身のブランド【MASAAKi TAKAHASHi】というブランドを立ち上げ、コスチュームジュエリー(アクセサリー)を通して多くのメディアや百貨店で普及活動をしてきました。また、さまざまな企業や団体とのコラボレーションで「よせもの」作品の普及のご協力をいただいております。

コスチュームジュエリー作品については、下記のサイトよりご購入いただけます。
MASAAKi TAKAHASHi オンラインストア

「よせもの」技術が発達した歴史背景
「よせもの」技術が発達した背景は、機械化でカッティングクリスタルガラスを量産できる体制を整えたスワロフスキー社との関係があると考えられています。それまで、宝石やそれを模倣したガラスのカットは、全て手作業で研磨して作っていたため、その石のもつ良さを引き出すようにカットするのでサイズや寸法が揃わず