は、私にとって新たなプロジェクトとの出会いになりました。乗鞍エコーラインの中腹に建つ閉ざされた山小屋こと冷泉小屋が、この日は不思議と玄関の扉が開いていたのです。
ふと吸い込まれるように覗き込むと、出迎えてくれたのは長身の笑顔が素敵なジェントルマン。その方こそ、今回の冷泉小屋再生プロジェクトを立ち上げた村田淳一氏でした。
本職はCM制作プロデューサーの村田氏。誰しもが知るアノCMも彼がプロデュースしている。サラリーマン転覆隊員に所属し、カヌーをはじめあらゆるアウトドアを体験してきた。登山を始めたのはちょうど10年前。ご両親が安曇野に移住したのがきっかけだそう。
その場で冷泉小屋を再生させるというお話をお聞きして、これは運命だと感じました。下山するやいなや、乗鞍を愛するサイクリストとして、プロジェクトのメンバーに加えていただけないかとメールをしました。その後も何度か冷泉小屋に足を運び、お話しするうちに本プロジェクトのメンバーとして参画。現在は、一緒にサイクリストたちが楽しめる空間づくりを目指しています。
村田淳一さん、奥様の実樹さん、私
乗鞍には世界に誇る絶景ルートがあります。標高1460mから標高2716mまでの標高差1260m、距離20.5kmを駆け上がる乗鞍エコーライン。圧巻のつづら折りの坂道、森林限界を超えた先に広がる視界が拓けた天空ロードを走る体験は唯一無二です。
また、サイクリストにとって走りやすい道路環境も特徴です。中部山岳国立公園の乗鞍高原はマイカー規制(自家用車立ち入り禁止)により、バス、タクシーなど一部許可車両と自転車のみしか走れません。そのため、サイクリストにとってストレスがなく走りやすいのです。冷泉小屋は、このマイカー規制の区間内にあります。
もちろん、「乗鞍ヒルクライム」の存在も大きいです。参加規模もさる事ながら、大会のステータスは日本屈指。トップ選手たちの間では、アマチュアヒルクライマー日本一を決めるレースとして真剣勝負が繰り広げられます。もちろん、レベルに関係なく、それぞれが1年に1回、頑張る舞台として全国のヒルクライマーたちの憧れの大会になっています。
乗鞍ヒルクラムレースは、1986年から続く乗鞍高原の夏の風物詩。2021年は8月29日(日)に開催予定
ここ乗鞍の地で、多くのサイクリストたちが出会ってきた。今後、冷泉小屋がより多くのサイクリストたちの出会いの場になることを願っている
トップヒルクライマーのみなさんから応援のメッセージをいただきました!
■森本誠さん
「いままで冷泉小屋は無人の古ぼけた小屋でしたが……、この度、熱い情熱をもった方々によって再生されるとのことで、サイクリストで賑わう憩いの空間になってくれれば、ノリクライマーのひとりとして嬉しいです!」
■Shinoさん
「自転車歴のまだ浅い私が、初めて乗鞍に登ったのは2017年でした。登りながら、遠目からカフェかな……とワクワクしながら近づいたら無人小屋だった時、寂しい気持ちになったことは、今でも覚えています。冷泉小屋が再生されることで、新たなサイクリストの憩いの場ができればとても嬉しく思います」
■中村俊介さん
「今回の乗鞍を盛り上げる活動して冷泉小屋を再開されるというとこですが、サイクリストに限らず、乗鞍を愛するすべての人の憩いの場になればいいなと思います」
■日向涼子さん
「乗鞍の魅力はレースだけではありません。レースの時期が過ぎて秋になると、広大な緑色のハイマツに鮮やかな赤や黄色が彩られ、まるで友禅染を広げたような紅