人形劇上演を実施しました。また、45周年記念作品『モモ』では文化庁芸術祭優秀賞を受賞。その他様々な作品でも、厚生労働省社会保障審議会児童福祉文化賞や、日本人形劇大賞などを受賞させて頂いております。
70周年記念作品『あっちこっちサバンナ』より
京都においては、日本三大祭りのひとつ、祇園祭に奉納される鷺踊りの衣装や、平安神宮の節分祭の鬼の衣装等の製作を担当し、拠点である宇治では女性鵜匠の協力のもと鵜飼いをモチーフとした人形劇を製作するなど地域に根付いた活動にも力をいれてきました。
祇園祭・鷺踊りの衣装を毎年メンテナンスしています
また人形劇サークルへの講師活動や、子どもたちに向けた人形劇ワークショップ、大学での講師などの活動にも取り組んでおります。
こうした多様な活動をさせて頂く中で、やはり私たちの真ん中にあるのは、人形劇を届けることです。このことを大切にこれからも活動を続けて行きたいと考えています。
『火よう日のごちそうはひきがえる』より
人形劇への思い
人形劇の舞台を観るということは、映像を観ることとは違います。舞台の人形は画面の向こうではなく、私たちの目の前に現れて物語を生きます。人形劇を観るとき、隣に座る友達や家族と同じ空間に人形は存在し、泣いたり笑ったりします。人形は作られた「想像」のものです。しかし、私たちが生きているこの現実にはっきりと存在することができる「想像」です。子どもも大人も垣根なく、確かに分かち合える「想像」です。そしてそれは、人形劇を観るそのときに、目の前で生きている「想像」なのです。
『とどろヶ淵のメッケ』より
人形劇の作品創りはいつも挑戦の繰り返しです。子どもにも大人にも、観てくれるすべての人にちゃんと届くだろうか?たくさん笑ってくれるだろうか?怒りや悲しみや説明のつかない沢山の感情を、物語の真ん中を一緒に分かち合ってくれるだろうか?私たちはいつも緊張と不安と、それ以上の期待を持って舞台に挑んできました。観てくれた人たちが、想像の世界を一緒に体験し、心を震わせて人形たちと共に冒険に乗り出してくれる、そのたびに私たちは力を貰い、また必ずワクワクする人形劇を創ろう!と決意してきました。
劇に出演する人形たち
資金の使い道
クラウドファンディングでご支援いただいた資金は、劇団存続のための運営資金に充てさせて頂きたいと考えております。みなさんのご支援を力に変えて、70年の歴史のその先へ、子どもから大人まで、すべての人に心が躍るワクワクする人形劇を届け続けていきたいと思います。
仕込み(制作)の風景
最後に
人形劇はすべてが作り物の世界です。舞台に登場するすべて、人形だけでなく、例えば机やコップなどの道具ひとつひとつ全て人形に合わせて作られます。背景に登場する木も家もすべて作ったもの、言ってしまえば「ウソ」の世界です。
たとえばクマが歯痛を訴えたり、絵に描いた竜が絵から飛び出してきたり、ひきがえるとミミズクが紅茶を飲んだり。そういう「ウソ」は現実には無い想像の世界であり、それらは「不要不急」のものかもしれません。
ですが、この作り物の世界を創造し、共有しあうことが出来るのは人間だけです。存在しないものに想いを馳せて、心を動かすのは人間だけです。人形劇を楽しめるということは、人間が人間らしく生きている証のひとつと私たちは考えます。
誰もが人間らしく生きていくために、私たちは人形劇を届け続けたい。想像の世界を分かち合い、自由に心を動かす楽しさを届けたい。どうかみなさん、お力をお貸し