はじめに
(下の写真をクリックすると昨年の作品をGoogleストリートビューで見ることができます。)
令和2年7月豪雨災害により甚大な被害を受けた熊本県球磨郡球磨村は、村内の国道が所々崩落や土砂崩れなどにより外部からの寸断され陸の孤島となってました。そのため現地にボランティアが入ってきたのも被災後3週間経ってからでした。
地区に住んでいた子供たちは被災後の光景を目の当たりにし『もうここに住みたくない』、『怖い…』などの声をあげていました。
そこで私たちは地域コミュニティの再生と子供たちの心のケアを目的として、被災というマイナスのイメージと対極にある芸術を活用し解体の決定している村営住宅の壁や被災した土地の擁壁を利用して、アーティスト監修のもと子供たちと絵を描き遊び尽くしました。
今回はさらに作品を今後に残せるようにオブジェクトを制作し、それを並べて飾るだけではなく近未来の田舎で活躍が期待されているドローンを使ってレースをすることにより、未来の可能性が見えるようなイベントを実施したいと考えています。
解決したい社会課題
・令和2年7月豪雨災害の被災地支援
・被災による過疎化促進の抑制
・被災による子供の心のダメージケア
私は球磨村の神瀬地区に住み、令和2年7月豪雨で被災しました。家族と着ていた服、そして持っていた携帯電話以外はその際に全て失いました。その後の避難生活の中、コロナ禍における被災のため制限が多く地域の方とのコミュニティが著しく減りました。また、住んでいた地区と避難所が通常時に車で1時間半ほどの距離と遠い上、当初は国道の封鎖もあったため遠回りをしないと現地に行けずその際の移動時間は2時間半ほどかかりました。そのため神瀬地区の復興は他の地域に比べ1ヶ月ほど遅れました。
被災後後1〜2ヶ月が経った頃、子供たちに異変が見え始めました。PTSDの発症です。突然泣き出してしまう子、感情のコントロールが効かなくなってしまう子、雨を異常に怖がる子・・・また、現地で片付けをしていた子供の中にも体調を崩してしまう子や、「もうあそこには行きたくない、今後も住みたくない」と言う子もいました。さらに数ヶ月経って仮設団地にて暮らし始めた子供たちも、早くこの村を出たい、将来は村を出て行きたい、この村にはもう仕事もない・・・という声まで。
このような体験から、私たちはどうにかこのマイナスをプラスに変えられないか?未来の可能性と子供たちの心のケアを出来ないか?と考えました。
このプロジェクトで実現したいこと
前回は解体の決まった村営住宅3棟の壁と、被災した家の擁壁部分にアーティストと子供たちで絵を描きました。村営住宅はそれぞ別々のアーティストが担当し、それぞれ趣向を凝らしました。例えば、ゲーム『スプラトゥーン』のように水鉄砲の中にペンキを入れ住宅の壁にペンキを打ったり、子供たちの手形を木々の花びらや葉っぱに例えて球磨村の四季を表現したり・・・子供たちは自らが汚れることも気にせずに笑顔で作品を作っていました。
今回は『アート×ドローン』。ドローンを取り入れたのは未来を想像させる事と、通常田舎では体験出来ないようなことを体験することにより、色々な楽しい刺激を受けてもらいたかったからです。場所は被災した渡小学校を予定。被災し使われなくなってしまった校舎や校庭、今だからこそ新たな取り組みや挑戦が出来る。どんなマイナスも見方を変えれば可能性に変わることを子供たちと住民に感じてもらい、今後の地域復興の活性化に繋げたいと考えています。
資金の使い道