【バイオトイレ×生活改善】次世代の農業を提案しパラグアイの農家のモデルを作りたい

【バイオトイレ×生活改善】次世代の農業を提案しパラグアイの農家のモデルを作りたい
南米のパラグアイにバイオトイレを建設して、衛生環境と農業を改善するプロジェクトを実施します!パラグアイ農村部では、多くの家庭が野ざらしで囲いも手作りのいわゆる”ぼっとん便所”を使っています。清潔で安心して使えるトイレを使ってほしい。パラグアイの農業に、環境に、水不足の解消に貢献したいです。

にも、プライバシーに関する問題もあります。トイレの周囲の囲いは人の高さ程度であり、隙間もあります。入り口に何のカバーもないトイレもあり、周囲からの視線を防ぎきれません。屋外にありながら屋根もなく、使うのには不便です。レイプなどの性犯罪にある危険性もあります。

 以上の問題に対して解決策を提示するのが、バイオトイレです。

 ここで、本プロジェクトで建設するバイオトイレについて紹介いたします。バイオトイレは、糞尿を分離してそれぞれ必要な処理を施し堆肥化できるトイレです。尿は水で薄めて畑に散布できる液肥にします。便は灰やマテ茶の葉等の有機物と混ぜ、発酵サイトという別の場所に移動させます。そこで集めた便を6ヶ月かけて発酵・分解し肥料として利用します。

 バイオトイレは排泄物をその場で発酵させて堆肥にします。水洗トイレと違い、水を多く使わない点が水不足の地域において1番のメリットです。また、発酵させる過程で、便に含まれる環境に負荷をかける物質は分解されるので周囲の環境を汚染しません。感染症の病原菌や寄生虫も死滅するので、感染が広がる可能性が減少します。プライバシーの面でも、レンガ造りによって人目を避けることができ、レイプ等の性犯罪からも守られます。

 さらに、農村住民の生業である農業への良い影響もあります。堆肥を利用することで菜園の収量の増加が見込まれます。また、これまで購入していた化学肥料の使用量が減少するので家計への負担軽減にもつながります。オーガニックな野菜を栽培することができます。

 加えて、本プロジェクトを実施する地域では、当基金が関係機関として実施しているパラグアイ農村女性生活改善プロジェクト*²で、農作物の食品加工技術や販売技術を指導するプロジェクトを行っております。そのプロジェクトの受益者である女性たちがバイオトイレから作られた堆肥を使って農作物を栽培し、受益者女性たちが付加価値をつけて販売することで、大きな価値を生み出す好循環が生まれます。

*2 パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト…食品加工の技術や販売にかかるマーケティングなどの知識を獲得し、ジャムやケーキ、タルトなどの加工食品の販売を通じた生計向上ならびに生活改善に寄与するプロジェクト。

 本プロジェクトでは、最初のゴールとしてバイオトイレと堆肥を発酵するための建物(発酵サイト)をそれぞれ2基建設します。ひとつはパラグアイ共和国カアグアス県コロネル・オビエド市農村部、もうひとつはカアグアス国立大学キャンパス内の農地に建設します。

建設予定の3Dモデル

 農村部に建てるトイレは、女性宅の庭に設置します。女性の家族主体で維持管理をしていただき、そこで作った堆肥を女性の農地で活用していただきます。女性は先に紹介した「パラグアイ農村女性生活改善プロジェクト」で加工食品の講習に参加し、そこで学んだ知識や技術を活用してケーキやタルトを販売しています。女性とはオンラインですでに打ち合わせを重ねております。

女性との打ち合わせの様子。左上がその女性
(提供:ミタイ・ミタクニャイ子ども基金)

 カアグアス国立大学の農地に建設するトイレでは、生産学部の講師が研究を行います。カアグアス国立大学とミタイ基金は連携協定を結んでおり、連携して女性宅に建設するトイレも含め、2つのトイレの建設から維持管理まで担当していただきます。カアグアス国立大学所有の農地に建設することは、現地講師の提案であり、合意がなされております。管理は、カアグアス国立大学のT先生が現地での担当をします。

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