「この店を続けていて偉いね」と言われることもありますが、自分は嫌々やっているわけではなく、好きでやっています。自分はバカだなって思いながらも、故郷の味をなくしてはいけないのです。
■守り抜くいつまでも美味しいそして懐かしい鍵林のお煎餅
100年の歴史のなかで多くの危機に直面してきました。
昭和49年スナック菓子などの新しいお菓子がが一躍ブームとなり、手作りの煎餅は下火になってしまいました。そこで煎餅から切り餅にも商品の裾野を広げると、平成5年頃に切り餅ブームが起こり、経営状況は無事回復します。
しかし多くの企業が切り餅を生産するようになると切り餅の値段は下がるばかりで、手作りにこだわる鍵林はまたしても経営困難な状況に。そこで次に手を出したのが揚げ餅です。これが大きなヒットを打ち出し、今では鍵林でも人気の商品になっています。
■看板商品「浮かれかっぱ」
煎餅は生き物です。気候の変化や湿気の有無で煎餅の扱いは全く変わります。全て手作業でほいろを回しながらお煎餅の質を均一にするのは大変なことですが、そうすることで初めて「いつも同じ商品」ができるのです。
これこそが鍵林の特殊技術であり、鍵林のお煎餅が美味しく仕上がる秘密です。鍵林のお煎餅は半年おいてもく美味しく、自分でも飽きずについつい食べてしまうほどです。
特に看板商品である「浮かれかっぱ」は卸し販売はせずに直営店でのみ販売しています。数が多く作れないため大手のスーパーから引き合いがあるほどですが、量産でつくるのではなく一つ一つこだわって作ります。安く作ることもできますが、一種類でもお客さんに愛してもらえる商品があればやっていけるという信念のもと、女将は自分の納得のいく煎餅を追求します。
■直面したコロナウイルスでの危機的状況
当店は本店以外にもショッピングモール内に直営店があります。わざわざ本店にお越しいただかなくても多くのお客さんに鍵林のお煎餅を楽しんでいただくことは私達の願いであり挑戦でもありました。
しかし新型コロナウイルスの影響による営業時間の短縮やモールの客離れにより売り上げは激減してしまいました。いつ終わるか分からないコロナウイルスに対し、ただただ賃料を支払い続けるばかりで、今では存続すら厳しい状況にあります。
■この状況をなんとか乗り切りたいそんな思いで始めたクラウドファンディング
地域伝統の味は自分が途絶えさせてはいけない。しかしどうすればいいのか・・・。そう頭を悩ませていた時に、クラウドファンディングをやったらどうかとのご提案を頂きました。
鍵林はなんとしてでも守りたい一方で、クラウドファンディングには少し抵抗がありました。ネット上に自分の顔を載せたり、知らない人からお金を集めるなんてやりたくありませんでした。しかし、どうせもう長くないんだから、あとはやることやって死ぬだけだ。そう思うと、今までは乗り気じゃなかったクラウドファンディングもお店のためならやってやろうじゃないか!と決心することができました。今ではうちの商品を食べたことのない方にも是非食べて貰いたいという具合に、この挑戦をチャンスと捉えてプロジェクトを進めています。
「小さな支援でも私たちの働く活力になる。」
これからも死ぬまでお煎餅を作り続けていきたい。それが私の願いです。しかし自分の思いだけでは突破できない現実に、いま直面しております。鍵林を気にかけて愛してくださるみなさまからのご支援は、すべて鍵林の力になります。みなさまからの応援を励みにこれから先も鍵林を残し、100年以上つづく伝統の味