させていただき、その時のご縁で念願でもあった自分のレストランを2020年秋に東南アジアでオープンするという計画が進むことになり、お世話になった勤め先を退社し開業準備を開始しました。そんな矢先に新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、計画は全て白紙となりました。
目の前に見えていた目標が突然消滅し、色んなものを失った私はこの先どのようなモチベーションを維持し、次の一手を選べば良いのかわからなくなり、もう飲食の仕事を辞めて他の仕事をした方が良いのではないかと思い悩みました。
しかし、辛く苦しいことをいくつも乗り越えてきたこの飲食業界から簡単に身を引くのはあまりにも悔しいという感情は収まらず、コロナ禍でも元気に営業し求人募集している飲食店を探し歩き、なんとか今日まで働かせていただいています。
現在の職場にて
飲食のお仕事は続けているものの、新型コロナウイルスにより出店計画も頓挫し、個人的にも経済的な打撃をうけました。この状況から再び自分のお店を持つための挑戦をすることはさすがに難しいだろうと感じ始めています。
しかし、コロナウイルスは飲食業界に打撃を与えただけではなく、それと同時に飲食店の新しいカタチが広がるきっかけも作りました。キッチンカーによる移動販売はもちろん、デリバリーに特化したゴーストレストラン、一つのキッチンを複数店舗で共有するシェアキッチンなどのサービスが広がり、時間や場所を自由に選択し、飲食業を始められる時代となりました。
そしてそれは私の中で眠るある想いが目覚め始めるきっかけにもなりました。
私は自分のお店を持つために修行し、開業するために準備をしてきました。しかし、その目標は自分のお店を持つということではありません。自信と誇りに満ちた料理でお客様に感動を与えるということが目標なのです。
都内のシェアキッチンの様子
たとえ月に数回のシェアキッチンでの営業であったとしてもコツコツ心を込めて続けることで、それは必ず次の一歩に繋がるにちがいないと思うのです。
そして私は、今の自分がどんな料理であれば心からの自信と誇りをもってお客様に感動を与えられるか、これまでの道のりを振り返って私が作るべき料理はなんなのかを考えました。それは、仙台牛でもオマール海老でも、手作りコンソメのジュレでもなく、私がいままでの人生で明日も明後日も食べたいと思えた唯一の料理、たくさんのこだわりが詰まったあの汁なし担々麺しかないと思ったのです。
花椒(ホワジャオ)と辣油により辛さと痺れの両方を味わえる本格四川料理の汁なし担々麺に、広島文化への感謝を込めて広島食材をふんだんに使うことが私の汁なし担々麺の特徴です。
当店の汁なし担々麺の一番大事な核となる花椒(ホワジャオ)。もちろん詳しくは書けませんが、どこにもないこだわりの方法で花椒(ホワジャオ)の香りを引き出します。一口食べた瞬間に華やかに広がる花椒(ホワジャオ)の香りはきっと『ヤミツキになる』という感覚を感じていただけると思います。
いくつものスパイスを配合した手作り辣油はとても香ばしく深みがあります。辣油はTさんのレシピからさらに独自の改良を加えています。
こちらも詳しくは書けませんが、非常に独特な中華食材をいくつもブレンドさせて旨みを凝縮させています。
瀬戸内海のちりめんじゃこは、私がお世話になった月光フーズ宮本社長のご実家が営む呉市倉橋島の会社様から直送されます。四川料理の汁なし担々麺は、ナッツなどを入れて食感を加えますが、私たちの汁なし担々麺はちりめんじゃこを加えることで、醍醐味のひ