ことが多いのですが、実は海外では、最先端のサステイナブル(持続可能)でエコな素材として超注目されています。
▲茅葺きが使われているオランダ・ミッデンデルフトランドの市役所と消防署。撮影/田揚裕子
というのも、この屋根、ある程度(10年〜手入れがしっかりされると50年)の期間が経つと、葺き替え(ふきかえ)と言って、傷んだ部分を一旦下ろして新しいものに変えなければいけません。そのとき下ろした古茅は、廃材ではなく良質な有機肥料となります。古茅まで再利用できるため、エコな素材として注目されているのです。また、茅の場合は1年で生え変わるススキなどの植物を使うため、一度採取しても毎年再生します。そういう観点からも、茅はサステイナブル(持続可能)な素材といえます。そして、2020年12月17日に、茅葺き屋根は「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の中の一つとして、ユネスコ無形文化遺産にも選定されました。
〇可能性は建築資材だけではない!日本でも起こる茅葺きムーブメント!
海外で最先端の建築資材や建築デザインとして注目されている茅や茅葺きですが、日本でも新しい動きが始まっています!!その中には、壁や家具、モニュメントといったように屋根以外の様々ところに茅が葺かれているものもあり、それを見ても茅葺きの無限大の可能性を感じました!! ▲ 左:茅葺きの野外ステージ。(株式会社くさかんむりの相良育弥さん)
右:建築事務所の壁。(株式会社Earth Buildingの沖元太一さん)
古いものを守っていくことは当然のこととして、未来に対して今私たちが生きているこの時代の茅葺きを後世に残そうとして取り組んでいる方々。「茅葺き職人さんってかっこよくって、心もイケメン♡」と、ぽろっと漏らしたのは、プロジェクトメンバーのR先輩(笑)。そんな茅葺き職人の方々が今回私たちのおむすび屋の屋根を手掛けてくださいます。彼らは、隈研吾氏がデザインする岡山県真庭市立のサイクリングセンターの天井の茅も葺いています。
〇茅葺きが持つ「結(ゆい)」の力!
現代では、生活様式の変化に伴って、核家族化や地域の繋がりの希薄化、そして個人で何でも解決するといった「個」の風潮が強くなっています。ここで茅葺きの魅力の1つ「結」がその流れを変えていくのではないかと考えています。
「結」とは、茅葺き作業のなかで生まれた人と人との繋がりや相互扶助、助け合いのことです。茅葺きは、地域で、かつ自分たちの手で入手することができる素材だけでできますが、実際に葺くときには協力し合える二人以上がそろわないと葺くことが困難というシロモノです。合掌造りで有名な白川郷の葺き替えの作業も村人総出で行います。それらは無償で行われ、次には誰かのために無償で同じように働く。つまり、誰かのためにする行いは、やがていつか自分に戻ってくるのです。この循環を、どんな場所にいても、人と人とがお互いに快く協力し合える同じ「想い」の繋がりでできた現代版の「結」として地域にも根付かせていきたいと考えています。▲2019年世界茅葺き会議より、白川郷の葺き替えの様子。
地域との繋がりが希薄になり、「個」の風潮が強くなっている現代。
自分にとっての「故郷」を持っていない方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、志賀地区の未来をつくるなかで、志賀地区の方々や私たちプロジェクトメンバーだけではなく、このプロジェクトを応援してくださる全国各地の皆さんにとっても、この志賀地区が「未来の故郷」になってほしいのです!もちろん、すでに自分の「故郷