はじめに・ご挨拶
相馬中村神社で氏子総代長を務める立谷三郎と申します。相馬中村神社は今年2月に震度6強を観測した福島県沖地震で被災し、境内の建物や設備に大きな被害が発生しました。このままでは、千年以上続く伝統行事「相馬野馬追 総大将出陣式」の開催も危ぶまれてしまいます。東日本大震災や原発事故、台風19号、コロナ禍と地域を襲った数々の苦難を乗り越えて開催され続けてきた伝統をなんとか後世へ繋ぐために今回、神社の復旧に向けご支援を募ることにしました。
「相馬野馬追」で総大将が出陣する、始まりの神社
福島県の相双地区に伝わる「相馬野馬追」は、千年以上もの歴史を持つとされる伝統行事です。3つの神社から総勢400騎の騎馬武者たちが雲雀ヶ原祭場地を目指す「お行列」、甲冑姿で行われる「甲冑競馬」、騎馬武者たちが激しく神旗を奪い合う「神旗争奪戦」など3日間にわたって行われ、コロナ禍の前は例年16万人もの観光客が訪れていました。馬のお祭りとしても世界最大級の規模を誇る野馬追が故郷にあることは、私たちの大きな誇りです。
(騎馬武者たちが雲雀ヶ原祭場地を目指しまちを行進する「お行列」)
(地域の騎馬武者たちが甲冑姿で競い合う「甲冑競馬」)
国の重要文化財に指定されている相馬中村神社は、相馬野馬追において、総大将が出陣する「出陣式」が行われる重要な神社です。古くから伝わる総大将三献の儀が厳かに行われた後、総大将を先頭に騎馬武者たちがこの神社から、法螺貝の合図とともに出陣します。
(相馬中村神社から出陣する総大将)
今年2月の大地震で、東日本大震災よりも大きな被害が発生
東日本大震災の津波や原発事故で地域が大きな被害を受ける中、相馬中村神社では2018年に大規模改修がようやく完了し、「遷宮祭」が開かれました。これが復興への第一歩になると思っていた矢先、台風19号や度重なる地震を受け、2021年2月13日に震度6を観測した福島県沖地震で、神社にはついにこれまでの災害以上の大きな被害が発生してしまいました。
参道の24基の石灯篭はほとんどが崩れ落ち、大鳥居には裂け目が。石の太鼓橋は一部が壊れ、欄干が欠落。神輿殿など複数の建物の屋根や壁が崩壊しました。野馬追の出陣式を安全な形で迎えるためには、境内の建物や設備の大規模な復旧工事が必須です。しかし国からの補助金は神社の本殿復旧の一部費用にしか拠出されないことがわかり、補助金が適用されない復旧費用は総額1200万円に上ることがわかりました。この途方もない額を、自分たちでどう賄えばいいのか。目の前が真っ暗闇になりました。
(被害の様子)
相馬市では2019年の台風19号による水害や今回の地震、さらにコロナ禍で企業も住宅も大きな被害を受けています。コロナ禍で地域経済も打撃を受けており、地元企業から協賛を集めることも難しい状況です。そこでクラウドファンディングを実施し、神社の復旧に向けて広くご支援を募ることにしました。皆様からご支援いただいた資金は、相馬野馬追の開催に間に合うよう、総大将や騎馬武者、観客に安全を担保するための復旧工事の費用に充てさせていただきます。支援者の方には、相馬中村神社での出陣式を特別席でご覧いただけるチケットや、相馬野馬追のオリジナルグッズを感謝の気持ちとして提供させていただきます。
危機を乗り越え、千年以上の伝統をつなぐために
私にとって相馬野馬追は小さい頃からの憧れであり、特別な行事です。私と同郷の幼馴染の友人は騎馬武者として毎年野馬追に出場していて、その姿を間近でずっと応援してきました。