東日本大震災で友人は家族や家を失い落ち込んでいましたが、翌年の野馬追に向けて「やるぞ」と奮起し、津波で流された甲冑も新しくしつらえていました。しかしその年の冬、友人は亡くなってしまいました。私が相馬中村神社の総代に任命されたのもちょうどその時期で、野馬追の伝統をつなぐことに、運命と使命感を感じています。
この地域の人々にとっても、野馬追は大きな誇りであり、心の拠り所です。出場する馬の約半数の200頭ほどが地域で飼われていて、野馬追に出場するために厳しい冬も愛情を込めて飼育されています。年に一度の野馬追に騎馬武者として出場することは名誉であり、地域の子供たちはその姿に憧れて騎馬武者を目指します。出陣式も、神社に帰ってくる「お上がり」のときも、地域の住民たちが沿道にたくさん並んで応援します。
野馬追は、地域の安寧と繁栄を願って開かれてきた神事です。今年はコロナ禍で規模を縮小しての開催となりますが、立て続けに災害や疫病がある中で、この時代だからこそ、この行事を地域の心の拠り所として開催しなくてはならないと感じています。相馬の伝統であるこのお祭りをこれからも千年、二千年とつないでいくためにご協力をお願いするとともに、ぜひこれをきっかけに皆さんに野馬追を知ってもらい、ご来場いただけたらと思っています。
相馬中村神社・田代誠信宮司からのメッセージ
色んな方に手を差し伸べていただき、相馬野馬追の歴史と伝統をつなげていけたらという思いです。ここで終わらせるのは簡単ですが、それができないのが野馬追です。脈々と続いてきたつながりを、ここで投げ出すわけにはいかないのです。
相馬の人にとって、野馬追はようやく「夏が来た」と感じることのできる行事です。野馬追では、多くの市民がこの神社から出陣する騎馬武者たちを見守り、「いってらっしゃい」、帰ってくるときには「おかえり」と言うのが当たり前の風景になっています。そんな地域の風景を守るためにも、改修をして、必ずや人々の憩いの場にしていきたいと考えています。
野馬追をこれから先、何年続けられるかは、今にかかっていると思います。皆様にはご苦労をおかけしますが、どうか温かいご支援をよろしくお願いいたします。
資金の使い道・実施スケジュール
7月24日の開催に間に合わせるべく、灯籠の復旧・大鳥居の補強・太鼓橋修繕・神輿殿、神楽殿の修復等を4月中旬より順次開始しています。7月24日までに全ての工事が終了する予定です。
<All-in方式の場合>
本プロジェクトはAll-in方式で実施します。目標金額に満たない場合も、計画を実行し、リターンをお届けします。