くの猫とそのオーナー様の悩みに応えることになるのだと私なりに解釈しました。
ONIGIRIを導いてくれた鼻ぺちゃ猫
我が家の鼻ぺちゃ猫 鼻ぺちゃ猫は、鼻が低いので、器のコーナー部分が急だと食べにくそう。そして、小さくて深い器はヒゲが邪魔で食べにくそう。浅い器だと食べやすいけど、大きなサイズばかりで顎の下がいつも汚れてしまう…。傾斜のある器は鼻の高い猫には良いのだけど、既製品の多くは深く作られているので、鼻ぺちゃ猫は顔がうずくまってしまって見えない。
どんな器にしても食べにくそうな様子の鼻ぺちゃ猫、しかも長毛種。まずは、色々と改善を要するこの子を基準に、最適な深さ、大きさ、形、高さを導くことにしました。そうすることで、より幅広い種類の猫ちゃんに適応できるのではないかと考えたのです。
我が家の猫をモデルに基本仕様を導いた
このようにして、鼻ぺちゃ猫の顔のパーツを多角的に観察し、鼻の高さや目の幅、ヒゲの位置、そして食べ癖も観察しました。そうしてなんとなく見えてきたのが「おにぎりのような形」でした。
試作品づくりから「量産を目指す」
本格的に試作品を作るにあたり、あらためて4匹の愛猫全員にモニターとなってもらう事にしました。そして、彼らは食事の際にどのような食べ癖があり、どのような課題を持っているのかをじっくりと観察しました。やがて、四者四様の試作品を作っては愛猫たちに使ってもらう、という日々を繰り返した末、愛猫達にとって共通の「優しいフードボウルの形」がはっきりと見えてきたのです。
個展にて試作品を披露それぞれの食べ癖と体型を元に作った試作品 そうして、明確に導き出した、4匹共通の優しい形、それは角丸三角形の「おにぎり型」でした。名付けて「パウ・ボウル ONIGIRI(おにぎり)」。加えて、食べこぼしや食べ残しへの配慮が全ての愛猫に必要だったということもあらためて分かりました。
「食べにくさ」を少しでも軽減できないかと、試行錯誤を重ねた末に導き出した「優しい傾斜」は、体高と食べる時の首の傾斜とカリカリが滑る角度から導いたものです。さらに、オーナー様を悩ませる「食べこぼし」を防ぐために効果的な「優しいフード返し」を施し、試作品のさらなるブラッシュアップを目指しました。傾斜とフード返しがあるのでカリカリが器の中で散らばりません
細部へのこだわりとお試しシーン
パウ・ボウル ONIGIRI(おにぎり)の台座の部分は猫の体高に配慮した高さになっており、上から見ると角丸三角形。横から見ると、その三角形の頂点に向かって傾斜がついています。この傾斜は、カリカリが滑る角度となっており、フードが偏らないようにするためと、食べる時の猫の首の傾斜による吐き戻しや頸部への負担にも配慮したものです。
また、三角形にしたことで、フードが偏ってしまう余分なスペースも少なくなり、猫が舌でフードを舐めてもお皿の中で散らばりにくくなります。そして食べこぼしてしまわないように配慮した縁加工「優しいフード返し」については、必要ない手前は施さず、器奥部分のみ施しました。
特に、少量の食事(ちょい食べ)、投薬や水分補給の為にウェットタイプのフードを与える時などに、この傾斜と角丸三角形が効果を発揮し、食べやすさをサポートできるように設計しています。
また、三角形の底辺両端に設けた丸みのあるコーナーは程よくヒゲが収まるよう工夫しており、加えて頂点に向かってやや湾曲を持たせる事で、頬や耳への刺激も気にならないよう配慮しています。
左から正面・上面・側面