でしょうか?
これ、私も意外だったのですが、大人向け酪農体験の「お客様の感想」を整理していた時
乳牛の「個性」
を挙げる声が多いことに気付きました。
全くの未経験者だけでなく、もともと酪農や牛が好き、で参加された方も同様の感想を寄せたので、一般消費者の方々が手にする酪農に関する情報の中に「牛は個性豊かな動物」という紹介がない、または伝わっていないことが想像に難くないと思います。
それに対し、畜産業の環境への影響・飼育密度などは詳しかったりします。
と、言うことは。。。
せっかくの交流イベントで酪農家さんと消費者の方々がお話する機会があるとしても、お互いが全く違う牛をイメージしている中での会話であり、説明であり、
それが誤解の元になる…とも考えられます。
牛乳は毒である、というデマが拡散しやすいのは、この辺りも一因かと。
かと思えば、
生産者団体主催の交流イベントでは
消費者の皆さんが牧場アイスや乳飲料を購入し、召し上がっている、その傍で
「もっと牛乳を飲んで下さい!」
と連呼する酪農家さんたちの映像が流れる。。。
今、消費している人に対し「もっと消費を!」と言うのは感じ悪いです。
他の会場では、乳牛という生き物は「胃が4つあって、蹄は2つ…」
の話の続きには
「2才で初産を迎え、3~4回お産をしたら肉用として売ります」
との説明が…
ち、違う!
そうじゃ、そうじゃな~~~~~い!
という場面があったりもする。
酪農家さんが負担する乳代賦課金*が投入されているイベントなのに。。。
(*出荷乳量に応じて源泉徴収される協力金のこと)
残念なことですが、伝える側も酪農のこと、そして消費者の気持ちを理解できていない場面が散見されます。
ちなみに酪農家さんの本音として、牛さんには10回でも20回でもお産をし、健康で長生きして欲しいと思っています。
ただ、いろいろな制約があり平均すれば3~4回という数字になる、というだけなのです。
これ、言いにくいことですが
この認識のズレを解消しないと
●酪農への理解は進まず
●お客様がそっと離れて行く
のも無理はない状態に思えるのです。
私のような小売、接客業の立場から見れば、交流イベントでのお客様の表情や体の動きは、あまり「楽しそう」とは言えません。
消費者を取り巻く環境が大きく変化し、食品産業そのものが「ブラックボックス化」していること、身近に農業従事者が少なくなり、その背景が見えないのも一因かもしれません。
そして防疫上の理由で、牧場への立ち入り制限や、交流イベントに生きた牛を連れてくることさえ難しくなっています。
この環境で、BSE並みの事件が起きてしまった場合、消費者側から牛乳は国産でなくても…という意見が出かねないと思っています。
そして最近の長期保存可能牛乳の味の良さを考えれば、何かのきっかけで海外の牛乳が参入してくることも十分にあり得ます。
それは地方(特にへき地と呼ばれるところ)の産業衰退を意味し、過疎化に一層の拍車がかかるでしょう。酪農専業の開拓地域など、他の作物への転換ができない場所では大打撃となる訳です。
こんな状況は良くない。
お互いの立場を理解し、支え合う関係でなければ、このつながりは破綻しかねない。
可能であれば同じイメージを共有しながら相互理解を深めて欲しい。
1枚の絵を並んで鑑賞するように。。。
そんな願いを込めて、
●乳牛たちの「個性」を前面に出し
●酪農家が目にする牛って
●こんなのだ