【映像×ステージ】現代版組踊「オヤケアカハチ〜太陽の乱〜」の新たな挑戦!

ダンス出演など

ウイングキッズリーダーズは一見子どもたちの演劇集団に見えますが、俳優やダンサーを養成する場所ではありません。メンバーは、石垣島のみならず近隣離島も含め異なる学校から集まる約80名もの子どもたちで構成されています。平日はそれぞれの学校に普通に通いながら、週末になると稽古場所に一同し稽古を重ね舞台づくりに励みます。ダンスや演技を教えてくれるプロの先生はいません。リーダーズと呼ばれる高校生たちが稽古内容を考え、全体の流れを作っていきます。

日々の稽古内容を考える高校生のリーダーたち

この場所では学校とは違った形で、コミュニケーションスキルやリーダーシップ、自己表現能力など様々なスキルを「演劇活動」という方法を通して学ぶことができます。また、演じる台本が地域の歴史や文化に特化した内容になっているため、自分たちが生まれ育ったこの八重山という地域に対しても高い関心を持つメンバーも多くいます。

参加した当初、人前に立つことや誰かとお話をすることが苦手だった子が数ヶ月で大きな声で笑顔で人前で自分の考えを言えるようになったり、学校で挙手するのが苦手だった子が気がつけば学級委員長や生徒会長に立候補するほど積極的に発言できるようになったりと、数えきれないほどの成長や変化がこの場所から生まれています。

また、このウイングキッズリーダーズの卒業生たちの多くが卒業後も島内外で活躍し、地域に貢献する人材育成の場としても高く評価されています。

今年度は新型コロナウイルスの影響は小さな南の島にも及び、毎年4月に行っていた年度の開講が大幅に遅れ6月にスタート。いざ活動が始まってからも、約80名ものメンバーが集って稽古はできないと判断し、稽古も開始できない状態でした。

「今年度は活動休止にした方がいいのでは?」

そんな意見も勿論ある中、私たちはこのコロナ禍でも出来る形を考えようとオンラインミーティング等を重ね、これまではメンバー全員が体育館などに集い朝から夕方まで稽古をしていた形を、下記のような方法に切り替えて活動を開始することに決めました。

・メンバーをチーム分けし、午前と午後でチームの入れ替えを行う

・メンバーの家族含め、島外渡航歴や体調変化がわかる健康観察シートを毎稽古で提出

・稽古開始時の検温、手指・備品のこまめなアルコール消毒

・マスクを着用しメンバー同士のソーシャルディスタンスを保った稽古進行

マウスシールドをしてのダンスもだいぶ慣れてきました

小さな島で感染者が出る度に稽古を中止にし、オンラインでの稽古などにも取り組んできました。例年より練習時間も激減し、これまで1曲を覚えて踊れるようになるまで数週間という期間で取り組んでいたダンスも、今年は1ヶ月も2ヶ月も時間をかけて練習しています。

「例年通りの作品づくりはできない。」全国の劇団が抱えているような悩みを、私たちも同じように抱えていました。

また、これまで通りにいかないという理由はもうひとつ。この19年間という歴史の中で、私たちの公演の拠点となっていたのは石垣島の文化の中心地、石垣市民会館大ホール。しかし、音響や照明などの設備老朽化による改装工事のために今年の4月から石垣市民会館大ホールは閉館に。この島には市民会館のような大きな劇場は他にありません。

例年利用している市民会館の閉館と、新型コロナウイルスの影響によるいつもとは違った形での稽古進行とで、今年は公演の実現は不可能…そう感じ始めました。

しかし、今年のメンバーで過ごせる期間は今しかない。今まで通り