桜農家が大ピンチ⁉コロナ禍で行き場を失った桜茶を日本中に届けたい!

もっと広めたい!

江戸時代に生まれた「桜茶」や「桜もち」は300年以上の歴史のある伝統食品です。そして、今世紀なり「桜スイーツ」に発展しました。まずは、「桜茶」や「桜もち」を知ってもらい、口にしてもらいたのです。そして、新たに生まれた「桜スイーツ」や「桜ドリンク」などにも、もっともっと親しんでもらいたいのです。「食べる桜の文化」を守ること、広めて発展させることは、まずは大元である農業生産者を守ることになり、「桜の食」に関わる業界の皆さんを元気にすることにつながるのです。

【最後に】

行き場を失っている「桜茶」を少しでも有効活用したい、という思いからこのプロジェクトはスタートしましたが、根本には「コロナ禍で毀損した桜の食のサプライチェーン」を修復しなくてはならないという使命感があります。サプライチェーンとは経済用語ですが、「桜の食」でいえば、桜農家から始まり、産地で塩漬け加工する業者、次に「スイーツ素材」に加工する我が社があり、それを販売する商社、そしてメーカー・菓子店やカフェで商品化され、皆さん消費者が口にする一連の繋がりです。300年以上の歴史のある伝統食品から、桜スイーツに発展した「食べる桜の文化」を守り、広めることは、サプライチェーンに関わる数多くの人々を元気にすることでしょう。

前述の通り、桜産地の農家は高齢化と後継者難という課題に直面しています。そこで私たちは、既存の桜農家を守ると共に、新たな桜栽培農家の開拓にも取り組んでいます。組織化や法人化を図り、遊休農地や耕作放棄地を活用に取り組む意欲的な農業生産者に、桜の栽培をお願いしました。7年前の長野県伊那市を皮切りに、5カ所に6000本近くの食用の桜を植樹し、一部では収穫できるまで成長しました。手の足りない農業者は、障がい者就労支援施設に収穫から塩漬けまでの作業を委託しています。今年、さらに収穫できる畑が増えます。やっと軌道に乗り始めたところで、このコロナ禍です。障がい者就労支援施設への仕事の依頼が減っているので、新たな施設からも桜の仕事が増えることが期待されていました。地方では、遊休農地や耕作放棄地の解消と共に、障がい者だけでなく高齢者の雇用拡大にもつながると期待されていただけに、何としても、「食べる桜」の需要拡大に努めなくてはなりません。

私は、元々、花や緑が好きでしたが、我社の事業を桜の食材加工に注力し始めると、桜名所や巨桜・名桜を訪ねるようになり、もっと桜を知りたいと思い、桜に関する本を買いあさり桜の勉強をしました。桜を知れば知るほど、その多様な魅力に憑りつかれていきました。その集大成として、桜の多面的な魅力を広く伝えたいという思いが湧き出て、桜の本を出版するに至ったのです。

この本を出してからは、桜の魅力を伝える場が広がり、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで取り上げられました。そうした中で「桜の食」や「桜の植樹」の取り組みが、地方・地域の活性化につながることが伝えられたのです。「見る桜」だけでなく多面的な桜の活用が注目され、各地の行政や商工団体からの依頼で講演を行うようになりました。

その中で現在、4カ所ほどで「桜の食」「食用桜の植樹」「桜の名所づくり」を組み合わせた地方活性化プロジェクトが進行していますが、残念な事に、これらもコロナ禍により滞っているのです。今回の「桜茶プロジェクト」の広がりが、後押しになることを期待しています。

桜の本を作る過程で、「桜の文化」は実に多様であることを改めて知りました。古代の万葉集から始まり、花見という日本独特の行事をはじめ文学・