【鶴岡市立加茂水族館】美しいクラゲたちをえさ代で救いたい

クラゲを出します。成熟すると4本の白い生殖腺が発達し、目立つようになるのが特徴。光に集まる性質が強く、照明を付けると一斉に光の方向に泳ぎだします。

■ クラゲドリームシアター
世界に誇る、直径5mの水槽「クラゲドリームシアター」。大小様々な約1万匹のミズクラゲが浮遊する、とても幻想的な光景が日常を忘れさせてくれます。

■ 円柱型のクラゲ水槽「クラゲチューブ」
見る角度により、また違ったクラゲの美しさを演出してくれます。

■ 加茂式水槽
奥泉館長が自ら設計した、オリジナルのクラゲ専用水槽です。底面の一部のコーナーに仕切り版を設置。板には3mmの穴が開いており、水流が太く均一に保たれるようになっています。設計図は特許を取らず無料で公開しており、現在では全国の水族館で使われるようになっています。

鶴岡市立加茂水族館の歩み

加茂水族館は、1930年(昭和5年)に地元の有志者が出資し、「山形県水族館」として建てられました。昭和39(1964)年に新築移転し、年間20万人が訪れる県内有数の観光施設として賑わいを見せていましたが、1997年頃には、年間入館者数が9万人まで激減してしまいました。
閉館の危機に直面する状況の中、企画展として『生きたサンゴと珊瑚礁の魚展』を開くことに。その準備をしていた際、偶然、サンゴの水槽に3~4mmの小さな生き物が30個体程泳いでいるのを発見。それがサカサクラゲの赤ちゃんでした。えさを食べさせ、500円玉くらい大きくなった段階で展示をしてみると、お客さんが大喜び。「そこからクラゲがおもしろくなりました」(奥泉館長)

■ 窮地を救った「サカサクラゲ」
クラゲに魅了された奥泉館長は、自ら海にクラゲを獲りに行っては水槽で展示。時にはクラゲに刺され3日入院することもありました。しかし、クラゲの展示が大きな反響を呼ぶ裏では、大きな課題がありました。クラゲをうまく飼育・展示するためには、水槽内に水の流れをつくる専用水槽が不可欠なのですが、それはとても高額なため、当時の経営状況ではとても買えるものではなかったのです。

そこで奥泉館長はこれまでに得た、クラゲ飼育のノウハウとアイデアをすべて注ぎ込んだ水槽を自ら設計し製作。専用水槽の10分の1の費用でオリジナルの水槽を開発しました。その後、何度も改良を重ね現在の形に。そしてその設計図は誰でも作れるよう無料で公開されています。「当時、クラゲの世界はまだ閉鎖的で、情報交換がスムーズにいっていませんでした。そんな中で、自分の作った水槽を同じように苦労している人たちに使ってもらいたかったんです」(奥泉館長)
加茂水族館の特徴

■ 約1万ものミズクラゲが浮遊する巨大な円形水槽「クラゲドリームシアター」

■ さまざまな成長段階のクラゲを展示する「クラゲ解説コーナー」
■ 世界各地から集まる常時60種類超のクラゲを展示

その他、地元・庄内浜や河川に生息する魚たちを展示したり、ゴマフアザラシとキタゾウアザラシが泳ぎまわる「アザラシプール」や 学生たちが集まる研究の場を提供する取り組みを行っています。
資金の使い道と実施スケジュール

加茂水族館には、たくさんクラゲたちがいます。水質の管理や、水温の維持、クラゲたちのえさ代や飼育員さんの人件費など多くの月間の維持費がかかります。
ご支援いただいた資金はクラゲの成長を支える費用として、えさとなるベトナム産アルテミアの購入費用に充てさせていただきます。アルテミアは、別名ブラインシュリンプとも呼ばれる小型の動物プランクトンで、ホウネンエビモドキ科と