はじめに・ご挨拶
はじめまして、白鳥さんの手記『息子からの伝言』出版プロジェクト実行委員会の代表・蒼沼と申します。
皆様は2001年9月11日に発生した米国同時多発テロを覚えておられるでしょうか?
テロリストがハイジャックした4機の旅客機が「巨大な爆弾」として建物に突入し、ニューヨークやワシントンD.C.を中心に3千人近い犠牲者が出た未曽有のテロ事件です。
なかでも最大の被害を生んだニューヨークの世界貿易センターには、当時、多くの日本人がいました。
米国屈指の大企業、キャンター・フィッツジェラルド社で働いていた白鳥敦さんもその一人です。
享年36歳でした。
白鳥晴弘さんは敦さんの父親です。
事件から20年を機に、今回、白鳥さんの手記を出版します。
白鳥晴弘さんについて
白鳥さんは東京・恵比寿の出身です。
幼少期に東京大空襲で家を失い、戦後まもなく相次いで両親を亡くしました。貧困のなか、夜間中学に通う傍らいくつもの仕事に従事し、アナウンサーとして活動したのち、自ら事業を起こして成功をつかみます。
ようやく手に入れた家族。そして、かけがえのない一人息子の存在。
成人してからの敦さんと白鳥さんは、お互いの仕事を意識し合ういわばライバルのような関係で、強い絆で結ばれていました。
その敦さんが、なぜ憧れの地で命を落さなければいけなかったのか。
事件から2年後、白鳥さんは深い悲しみと葛藤の果てに、ひとつの決意をします。
それはアフガニスタンに行くこと。
事件当時、アフガニスタンはテロの実行犯とされていたウサマ・ビンラディン率いるアルカイダと強いつながりを持つタリバン政権が支配していました。
アメリカの報復攻撃により多大な被害を受けていたアフガニスタンで、「大きくなったらアメリカに報復する」と現地の少年が叫んでいる姿をテレビで見た白鳥さんは、「このままではまた悲劇が繰り返される」と危機感を抱きます。
再発防止のため、自分ができることはないか。
アフガニスタンの少年の心を変えるには、何が必要なのか。
まずは現地の様子を自分の目で確かめるため、白鳥さんは遠いアフガニスタンの地に向かいました。
以来、国際支援の理想と現実に苦しみつつ、一般市民からアフガニスタンの大臣、そして反政府組織の人間まで、様々な人と語り合いながら白鳥さんは自分なりの支援の形を模索していきます。
敦さんを失った悲しみを乗り越え、アフガニスタンの復興支援に取り組む白鳥さんの姿は多くの人の注目を集め、政治家、ミュージシャン、建築家、映画監督など、分野を越えてたくさんの支援者が生まれました。
さらに、NHKや中京テレビ、読売新聞や共同通信など日本国内のメディアに限らず、カナダ国立映画制作庁が共同製作したドキュメンタリー映画『火と水』の主演になるなど、白鳥さんの活動は国内外の多数のマスコミに取り上げられています。
事件から20年。
今回出版する本は白鳥さんの今までの活動をまとめた最新の手記であり、9・11テロ事件に関する資料としても貴重な記録になります。
このプロジェクトで実現したいこと
一人でも多くの方に白鳥さんの手記を読んでいただきたいです。
対立を乗り越えるために人として向き合い、自分の身の丈でできることをする、という白鳥さんの思いに共感してくださる方とつながることができれば最高です。
また、本書を英訳し、海外での出版につなげるきっかけになればとも考えています。
たとえ支援額が目標に達しなくても、一人でも多くの方に白鳥さんの活動を知ってい