こんにちは。東京・浅草で中東の薄焼きピザ<ラフマジュン>の店を今夏オープンすることになりました、上田惠利加(うえだえりか)と申します。
夫の上田拓明(うえだひろあき)と二人で、2018年3月より Chapter Two Tokyo というゲストハウスを営んでいます。
「働くこと、遊ぶこと、暮らすこと、全てが融合するように」という思いで作ったこの場所で、国内外から多くのゲストを迎えてきました。
この2年で世界が大きく変化し、日々様々なお客様をお迎えしていた“当たり前の生活”が突然終わりました。
この出来事は、自分たちにとって何が大切なのか、これからどう生きていくのか、ということを、じっくりじっくり問い直す機会になりました。
突き詰めていくと、結局残ったのは「二人の経験と”好きなこと“を合わせて、楽しい時間を共有できる場づくりをしたい」という、とても素朴な思いだったのです。
ではなぜ「ラフマジュン」なのか?それをご説明したいと思います。
「国を持たない世界最大の少数民族」と言われているクルド人という民族をご存知でしょうか。
私はクルド語やクルド文学、クルド音楽など、クルド人の文化に関わることをライフワークとしています。
数年前、トルコ・イスタンブールを訪れた時にAirbnbを使って滞在した先のホストがクルド人でした。
初めて出会ったクルド人、通称「ジーザス」
見ず知らずの異邦人である私のことを、まるで古くからの友人のようにもてなしてくれたことに心の底から感動してしまい、「もっとこの人たちのことを知りたい!」電流が走ったのです。
それから何度も”クルディスタン”(トルコ・シリア・イラク・イランにまたがる、クルド人居住エリア)を訪れ、たくさんのクルド人と出会い、交流してきました。
トルコ・ヴァンで結婚式に参加
向かう先々で、いつも胃が破裂しそうなほど大量に食事をご馳走になってきましたが、その料理のうちの一つがラフマジュンだったのです。
折り重なるラフマジュン一人前
毎回「1枚で十分だよ」と言うのに、「遠慮せずもっと食べなさい!」と、結局5枚くらい食べさせられます。「Bixwe bixwe(食ベて食べて)」は、挨拶よりも先に覚えるクルド語かも知れません。
私にとってラフマジュンは、クルド人との温かい繋がりを象徴する大切な料理です。
クルドにどハマりした私はすぐにクルド語を学び始め、クルド語で日本のことを紹介するYouTubeチャンネル Japan Bi Kurdi を開設したり、クルド人の伝統的楽器「サズ」を学び始めたり、クルド料理を中心としたいろんな地域の料理を振る舞うホームパーティーを開催したりして、いつの間にか「クルドな人」になっていました。
流れ流れてユーチューバー
日本に住むクルド人の友人からサズを譲り受け、学び始めた
毎週金曜日のホームパーティーは大盛り上がり
また、YouTubeチャンネルが局所的にバズったことでクルド系メディアの目にとまり、イラクに本拠地をおく一大メディア「クルディスタン24」というニュース番組に生出演したことによって、クルド人の間でもちょっと知られる存在になりました。
生出演なのにボディコン姉ちゃんの早口が聞き取れず笑ってごまかす
これらは全て、仕事であるゲストハウス運営の外側でやっている、趣味みたいなものでした。
夫は夫で何度かクルディスタンを旅したこともあって、なぜ私がハマっているのかをよく理解してくれていました。
サラダにはごまドレッシングをかけるのが好きなのに