はじめに・ご挨拶
国家ビジョン研究会〜医療・看護・介護分科会〜は日本の医療をサステイナブルに、そして明るいものに変えるため設立された、シンクタンク「国家ビジョン研究会」のひとつの分科会です。世界に例のない高度経済成長期とバブル時代を経験し、先進国の仲間入りを果たした日本は、現在、超高齢化社会に突入し、今後も世界に先駆けて解決すべき問題を多く抱える「課題先進国」です。世界屈指の長寿国であり、少子高齢化社会を経験する日本が、その問題を先駆けて解決し、サステイナブルで素晴らしい医療制度を作った時、世界は日本に注目し、その先の未来を明るいものへと変える力を世界に顕示することになると私達は信じています。
このプロジェクトで実現したいこと
日本には素晴らしい医療制度、皆保険制度があります。しかし超高齢化社会により、医療費は増大し続け、破綻が目の前に迫っています。では、私達はなにをすればいいのでしょうか?そう考えた時に、現在の医療制度をどのように変えていけばいいのかを、わかりやすく解説した書籍を出版しようと考えました。現在における日本の状況、とりわけ人口構造に思いをはせてみましょう。超高齢化社会の到来と同時に、少子化による人口激減など、直面する状況には厳しいものがあります。いっぽうで、この厳しい状況と裏表の関係にあるのは、健康で尊厳ある百歳長寿社会の実現を可能とすることではないでしょうか。もしそれが達成できるならば、それは、世界に先駆けて範を示すことになることでしょう。我々は、危機が迫っていることを察知できていない。たとえ察知していても、課題として認識していない。たとえ認識していても対策を先取りして実施していない・・・。このような風潮が、国の根幹をなす重要政策にも、かげを落としていないかを懸念しています。いま必要なことは、議論ではなく行動を起こすことであり、その必要な行動を起こすべき主人公は、我々国民です。そこで、本冊子では特に医療に関しての問題点を時系列的に精査し、検討・議論・研究を進めてきました。そしてその内容をぜひ国民の皆様と共有したいと思い、提言を「5つの大項目事案」に絞り、わかりやすく50のアイコンにまとめました。これを読めば、現在の日本の状況、そしてどのような行動が必要なのかが分かると思います。
プロジェクトをやろうと思った理由
国家ビジョン研究会〜医療・看護・介護分科会〜は、長く時間をかけて現在の日本の医療の問題を話し合ってきました。そうしたなか見えてきたのがこの50のアイコンなのです。日本を取り巻く緊急の国家的課題である安全保障、エネルギー・食料の確保、伝統文化の継承、環境保全、経済力の拡大、人口動態の激変(世界最速の超高齢社会)対応などにあわせて、特に社会保障(年金、医療・介護)関係の課題に対し、健全で持続可能な政策を推し進めることこそ、今現在の日本にとって目を背けることなく直視しなければならない最重要課題と考えます。これらの課題に立ち向かうためには、まず日本国民全員が「心身ともに健康である」ことが最大の基盤です。そのためにもこの書籍を出版して、みなさまとともに幸せな国を築いていきたいと思い、出版することとしました。
これまでの活動
国家ビジョン研究会〜医療・介護・看護分科会〜では、「医療改革プロジェクトチーム」を作り、2016年より、2回/月の話し合いを重ね、また数多くの有識者、政治家、官僚、患者の皆様のヒアリングを行い、本書籍の格子を完成させました。元ニューヨーク医学大学教授である廣瀬輝夫部会長、メドックスグループ会長の野口哲英