純国産ピックスキンで革共育文化を創りたい!

純国産ピックスキンで革共育文化を創りたい!
日本人は豚皮を食べない食文化のため食肉の副産物としての豚皮が生まれます。原皮から加工まで純国産で生産されているにも関わらず、日本国内であまり市場に流通せず知名度が低いピッグスキン。ピックスキンを通じて革製品をもっと身近にしたいという思いから「革共育」という文化を創っていきたいです。

年々増加していますが豚革を加工する国内のタンナーは減少しており、国内で加工できなかった原皮の9割は海外へ輸出され、海外のタンナーで加工された革を使って製品化した商品を輸入しているという現状です。

原皮は腐敗しやすいため塩漬にしてから船舶で輸送されます。そのため日本国内での豚革製品の加工〜製造〜販売が増加することで海外への輸送コストやCo2(二酸化炭素)排出量が削減でき、エシカル消費への第一歩となります。
また新型コロナの影響で輸入出に制限がかかり原皮を保管するコストが増加してしまいました。今後輸送費がさらに高騰してしまうと原皮の輸出も厳しくなってしまうと考えられます。原皮自体、近年のフェイクレザーの需要増加により価格が低下しているため、このまま豚革の需要が減ってしまうと「輸出より国内でゴミとして処分する」という方法を取らざるを得なくなってしまうかもしれません。

豚革の知名度が上がり国内の需要を作ることが循環型社会の実現に繋がり、貴重な国産資源である豚革を国内で製品化しMADE IN JAPANとして世界に発信していけるのではないかと考えました。

皮革産業を知ること、革を通じてモノへの関心を持つこと

革製品というとお手入れが難しそうというイメージはありませんか?
私自身革について何も知らなかったためにせっかくの革製品を使えなくしてしまった経験があります。

記憶に残っているのは夫のビジネスシューズです。何店舗も回りぼかし染のような綺麗なブラウンのビジネスシューズを購入しました。当時革のお手入れ方法も知らなかったため、擦れて少し色が褪せてしまった箇所を補色してもらおうと駅前のクイック修理屋さんにお願いをしました。すると、美しいぼかし染が全く異なる茶色にベタ塗りされて戻ってきたのです。修理代も5000円位かかったと思います。本当にショックでした。もったいないけれど履けなくなってしまいました。

皆さんの中にも革について似たような経験や苦い思い出がある方もいるかもしれません。
革って動物の種類によっても違いがあるのですが、原皮から革に加工する方法によっても革の質が異なってきます。その2種類の加工方法を知るだけでも自分にあった革製品を見つけやすく、お手入れしやすくなります。革についての重要な部分を知るか知らないかで、革製品との向き合い方がグッとラクになっていくと思います。

2種類の加工方法とは、化学薬品による「クロム鞣(なめ)し」と、植物由来の成分を使った「タンニン鞣し」で、現在世界の革製品の約9割がクロム鞣しの革となっています。
鞣しとはタンナーが「皮(原皮)」→「革」に加工する工程のことをいい、腐敗しやすい部分を取り除き新たに製品として使える革にする工程であり、まさにタンナーが新たな命を吹き込むといえます。

皮革産業の環境問題に関して、クロム鞣しにおける汚染排水や人体への影響が問題視されていましたが、近年日本はじめ欧州などでは製造工程における環境基準が大変厳しくなっているため、クロム鞣しにおいても汚染水を排出しない取り組みや人体に影響のある薬品は使用が禁止されているなど様々な取り組みがされています。また植物由来のタンニン鞣しの革が見直されていることから、皮革産業全体で環境にやさしい取り組みが行なわれております。

クロム鞣しとタンニン鞣しの革は、革の仕上がりも異なってきます。
分かりやすく例えると、汚れや水に強い革が良ければクロムを、エイジング(経年変化)を楽しみたいならタンニンを、といったように「どのように革と付き合っていきたいか」