体です。災害防止のためにも環境整備が必要です。
実際、鹿田産業も2018年に水害を受けました。幸い「すだれ織機」の被害は少なく、伝統が途絶えることはありませんでしたが、材料のほとんどが使えなくなり、苦労したことを思い出します。
大雨による被害がここ数年で起きていることを考えると、荒廃竹林が二次災害をもたらすことも考えられます。
そのことからも、継続的に竹林整備を行うことが、地域を守り、伝統工芸品「八女すだれ」を守ることにもつながると考えています。
〇「八女のいいとこ守り隊」の活動 -白壁の町並み編-
それでは、学生たちにバトンを戻しましょう!
私たちは、八女福島の白壁の町並みを散策しながら、空き家や景観保存地区の町家について聞き取り調査を行いました。この白壁の町並みを築いたのは田中吉政という大名なのだそう。
江戸時代には城下町として栄え、奥八女の自然を活かして、農作物や工芸品の材料を八女福島に集まるように物流の拠点とし、現在の町並みの基盤ができたそうです。
しかし、現在はところどころ倒壊の恐れがありそうな町家が目立ちます。この地域は伝統的建造物群保存地区に指定され、簡単に取り壊しができないそうです。
かといって、改修するには莫大な費用がかかるので、持ち主の方も何もできずにいるようです。
なぜこの地域が伝統的建造物群保存地区に指定されたのかも「横町町家交流館」でお聞きしました。
白壁の町並みの危機は、昭和後期から経済成長とともに、地方から都市部へ人が流れたことにより、八女福島の町並みの空洞化が始ったことでした。そして、さらに追い打ちをかけたのが1991年に2度、北部九州を襲った大型台風でした。崩壊した煙突はこの被害によるものです。
被害に遭った町家は、修復をあきらめて、解体を余儀なくされて、通りに空き地が目立つようになったそうです。
この災害を契機に、この貴重な町家を残していきたい!と有志が集まり、町並み保存運動が始まり、まちづくり活動が進んでいきました。
そして、2002年5月には国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けたそうです。
実際に白壁の町並みを歩くと、建物から伝わる暮らしが見えてくる気がします。そんな町並みの魅力や課題を地域の方に教えてもらいました。
まず訪ねたのが明治20年代から大正2年まで郡役所として使用されていた「八女旧郡役所」です。
こちらで「朝日屋酒店」を営む高橋康太郎さんにお話を伺いました。
この建物は、平成8年から空き家となり、平成27年に改修をスタートし、2年後に酒屋として営業を始められました。高橋さんはNPO法人「八女空き家再生スイッチ」の理事長でもあります。
「八女旧郡役所」は建物が大きいため、改修には莫大な費用がかかるので、壁塗りワークショップなどを開催し、工夫をしながら皆さんで少しづつ改修を進めているそうです。
「この建物が持つ雰囲気を大事にしたい!」という想いで空き家活用を始めたそうです。
酒屋の奥の大ホールでは、展示会やライブ、映画上映会など様々なイベント会場として使用されています。
改修・維持は大変だけど、この「場所が持つ力」「空間が持つ力」が人と呼び、出会いが生まれ、交流の場となることが喜びだとおっしゃっていました。
だからこそ、「伝統的な建物を残したい!」という想いで、空き家再生活動に取り組まれています。私たちもこの建物が持つ雰囲気に力を感じました。
次に、八女茶の名付け親とされる矢部屋 許斐本家「このみ園」の御当主、許斐健一さんにお話を伺いました。