MIRUIプロジェクトVOL.23|仏具の技で作るくらしの道具をひろめたい

MIRUIプロジェクトVOL.23|仏具の技で作るくらしの道具をひろめたい
仏具の製造者として、50年後、100年後まで使い続ける“ものづくり”に励んできた山梨仏具が職人の技と仏具デザインをベースに普段使いの暮らしの道具作りに挑戦します。丹精込めて作られた道具は、それを使う何気ない時間を豊かに時間にしてくれるそんな力を持っています。

れている

そのこだわりの甲斐あってか、設計士や大工の方から(最近増えてきているコンクリート建築の)お寺にいかにお寺らしい要素を残していくのか、デザインや工法について相談を受けることも増えてきました。

仏具にとどまらず、欄間(らんま)や格子戸(こうしど)、寺院内の下駄箱などのデザインをするなど一緒に仕事を進める機会にも恵まれ、試行錯誤をしながらですが新しいものづくりのステップを踏み出しています。

(2)材料へのこだわり

もうひとつのこだわりが材料へのこだわりです。
原木を数年寝かして製材し、天然乾燥させてからから材料として使っています。(欅(けやき)であれば少なくとも10年以上乾燥させる)

本堂に納める須弥壇(しゅみだん)は50年100年と仏像を支え続ける

木材は自然のものですから、木の中の水分がなくなる過程で捻れたり、曲がってしまったりします。
時間をかけて乾燥させながら、反りや捻りがでた部分を取り除き何度も調整をしていきます。

木材を機械の乾燥機にかけると木内部が割れてしまうデメリットがあり、天然乾燥にこだわっている

原木を切ってから10年・・・気の遠くなるような話かもしれません。ただ仏像や大型の仏具など100年以上使い続けるもの、後世に残すことを前提としたものづくりをするうえでは材料へのこだわりは不可欠なものです。

こんなこだわりを持ちながら“ものづくり“に向かう私たちは、
新しいチャレンジとして”日々使う暮らしの道具作り” に挑戦することといたしました。
2:皆さんのおうち時間のひと時をおしゃれに彩る「茶托」(ちゃたく)を作りました

・職人の技で生み出したカラフルな色合い

仏具でも多用される漆塗りの技法を用い、特別に調合した色漆で、桜や橙、ウグイス色などを表現。茶托では見かけることの少ない色鮮やかな仕上がりとなっています。また石目塗り*という技法を用いることで表面はザラザラとした味のある風合いに。

*ガラス板に色漆を塗り、乾燥後にヘラで掻き落とし潰すことで漆の粉の大きさを揃える。それを用い、石目のような肌合いを表現する技法。粒を揃えてムラが出ないようにするのが職人の腕の見せ所。

漆職人 伝統的な工法を守ることと新しいチャレンジの両方をおこなう

・誰でも使いやすい曲線をデザイン

少し浮き上がったへりの傾斜は、女性の指でも自然と持ち上げやすいようカーブしています。加えて、茶托の中央を開けた形にすることで、抹茶茶碗からカフェボウルまで、器の大小を問わずご使用いただけるデザインとなっています。

仏具の「天目台(てんもくだい)」を原型とし、日常でも使いやすいオリジナルデザインとして製作いたしました。

デザインのヒントとなった天目台 
お坊様が袈裟(けさ)の袖があっても持ちやすいように、熱い茶器を直接触らずに置けるような形(諸説あり)

・長く愛用していただける素材へのこだわり

この茶托の材料には、私たちがお寺の大型仏具を作る時に使う10年以上天然乾燥させた国産の欅(けやき)を贅沢に使っています。

通常、茶托(ちゃたく)くらいの小型なものであれば、そこまでの乾燥は不要なのですが、長く愛用いただけることに加え、木材の魅力も伝えられればと思い、こだわりを持って素材を吟味しました。

リターン品の欅(けやき)仕上げの茶托では、異なる木目も楽しんでいただけるかと思います。

挽物(ひきもの)職人がこだわりの素材を一つ一つ丁寧に茶托の形に整形いたしました。ぜひ手に取っていただき、この贅沢な逸品を堪能していただければ嬉し