広島に本と人、人と人の出会いの空間を作りたい!本と人の循環。本屋『檸檬』

本が出会い、人と人の繋がりが生まれる」本屋になるという答えになりました。それが本と本の交換です。だから新刊書店を名乗りながらも、本を売ることよりも、この世に既に存在する本と人を循環させる道を選択しました。

「檸檬爆弾」カード

本をただ交換するだけでは、繋がりが生まれません。だから本を交換するとき檸檬爆弾カードを書いて、本にはせてもらいます。

檸檬爆弾カードとは

「変にくすぐったい気持が街の上の私を微笑ませた。丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けて来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなにおもしろいだろう」『檸檬』の最後にこの一文があります。

要するに、丸善の本棚に檸檬という爆弾を置いて、爆発させるという妄想です。

この表現を利用して本を交換するときに、みなさんの思いをカードに書いてもらって、次に本を手にとる人に、何かきっかけを生む爆弾を仕掛けてもらいたいです。

例えば、僕がゲーテの『若きウェルテルの悩み』を本棚に置いて、代わりにサン=テグジュペリの『星の王子さま』を手にとるとするならば、カードにこう書きます。「この本は失恋して辛かった時に出会った本で、僕が本を読み始めるきっかけになった本でもあります。主人公のウェルテルの気持ちに共感しました。何か悩みがあったり気分が落ち込んでいる人の助けになる気がします」書いたカードを開いた本にはせます。そして『星の王子さま』を手にとり頁をめくるとカードにこう書かれています。「子供向けの絵本だと思っていて敬遠していたのですが、読んでみてびっくり。大人こそが読むべきものだと気づきました。キツネさんのあの言葉が忘れられません。心に残ります」

こんな感じで書く内容はなんでもありです。

カードを書くことで見えない誰かと繋がれます。本を手にとると、何かしら誰かの生きた足跡が本に残るのです。それが本と人の出会い、人と人の繋がりになります。

梶井基次郎を健康にする檸檬サワー

本との出会いは本を書いた著者との出会いでもあります。だから本と人との出会いも、人と人の繋がりと言えます。僕が『檸檬』という本に出会ったとき、僕は著書の梶井基次郎にも出会っているんです。『檸檬』という作品だけでなく、梶井基次郎の人生を知って、さらに作品の良さを知ることができます。梶井基次郎は身体が弱く、若くして亡くなりましたが、作品を通して今も繋がれます。『檸檬』は錯覚や妄想を使った文章表現が特徴的です。僕も妄想してみます。「新刊書店『檸檬』にコホコホと咳をしながら、ゆっくりと階段を下りて梶井基次郎が入ってくる。そんな彼を見て、氷を入れたグラスに、檸檬の皮と実と彼が療養のために過ごした伊豆の地酒を漬け込んだものを注ぐ。仕上げに炭酸水を注いで彼の手元に置く。みすぼらしくも素朴な檸檬を感じて少し体調が良くなる」こんな妄想も繋がりの1つです。ぜひ、僕と梶井基次郎の繋がりの檸檬サワーを飲むことで、お客さんにも健康と梶井基次郎との繋りを感じていただきたいです。

本とナチュラルワインのペアリング

繋がりは本を書いた著者に留まりません。著者の生まれ育った土地や、作品が書かれた場所、作品の舞台とでさえ人は繋がることができます。行ったことのない国や地域だったとしても、言葉で繋がります。パリといえばエッフェル塔ですが、ヘミングウェイやフィッツジェラルドの小説を読んでいると、パリのそこら辺にあるカフェでさえ、もしかするとあの時代の芸術家たちがそこで青春を過ごしていたのかなと想像できます。想像で繋