業サークル。カヤ刈りや薪づくり、大掃除など、佐藤家の保存活動に積極的に協力しています。
▲毒消しの道プロジェクト。毒消し売りや角海村などの郷土史・文化の勉強会や、毒消しの道歩きイベントなどを企画運営しています。
こうした動きも、拠点となる佐藤家と、この地域で守り繋がれてきた営みがあってこそ生まれたものだと考えています。
茅葺屋根の老朽化と、保存会高齢化の危機
▲平成14年佐藤家保存会が新潟県地域活性化大賞を受賞
しかし、保存が始まって20年を超えて、茅葺屋根の老朽化が進み葺き替えの時期となりました。佐藤家の茅葺屋根の全面を葺き替えるには、約2,000万円もの費用が掛かるようです。
さらに、20年前に情熱を持って保存会を立ち上げた運営メンバーも70代、80代となりました。
▲佐藤家の保存の中心人物として活動されてきた斎藤文夫さんも、今年で88歳を迎えました。
▲佐藤家の屋根を守り続けてきた、地元の茅葺き職人・金子彦治さんも91歳。地域に職人がいたからこそ佐藤家を維持することができてきました。
建物の老朽化と、保存会会員の高齢化もあり、
「今、お金をかけて葺き替えをしても、この先の保存していけるのか…」
「新型ウイルスで利用者もほとんどいなくなった。今後の維持費はどう捻出するのか…」
「葺替えができる人がいなくなり、業者に頼むようになったらもっと費用がかかる…」
「保存会の運営を担ってくれる後継者が居ないじゃないか…」
という弱気の声も聞こえています。
それでも、未来にこの茅葺屋根の佐藤家を残したい!
それでも、私たちはこの佐藤家と、この地域で営まれてきた昔の暮らしを、未来に繋いでいきたいと思っています。
先程、佐藤家の茅葺屋根葺き替えには約2,000万円が必要と書きましたが、それは材料となる「カヤ」代を含む場合です。茅葺屋根が主流だった時代は、地域内の茅場から毎年カヤを刈り貯め、家の屋根を葺き替えてきました。佐藤家は保存会のメンバーを中心に、そのカヤ刈りを毎年ボランティアで行い、材料のカヤを貯めてきました。
茅場が地域からなくなっている中、幸いなことに地元企業の敷地内に自生している大量のカヤを刈らせていいただいています。「佐藤家を未来に残したい」という人たちがお金を出すだけでなく、みんなで一緒に汗をかいて材料を集めている。これはすごいことだと思います。
さらに、佐藤家が育んだつながりの中から、佐渡在住の茅葺き職人・古館さん(24歳・写真左)と、見附市在住の茅葺き職人・大崎さん(39歳・写真右)という、新潟県に住む若手の職人と出会うことができました。技術を持つ人が高齢化する中で、これから茅葺き文化を守っていこうという熱い想いのある若手職人の存在は本当に貴重です。
今年や、これからの屋根修繕では金子さん(91歳)が長年磨いてきた技術を、若手職人2人に伝える最後のチャンスです!
ただ、材料があって、人がいたとしてても、工事には多額の資金が必要です。だからこそ、皆さんに少しでも支援をしていただければと思っています。
人の想いを未来に繋ぎ続ける場として
「人々の記憶は場所にしか残らない」という言葉があります。何かを伝え残すときに、「書き残したり」「語り継ぐ」だけではだめで、具体的な場が必要だということです。
お墓や、記念碑、アウシュビッツや原爆ドームが残されていること…などをイメージするとわかりやすと思います。その意味で、佐藤家はこの土地の生活文化の記憶や、人と人の繋がり方の記憶を残し続けてくれているように思います。