実施理由/背景
「もったいない」から「ありがとう」へ
日本では、まだ食べられるのに捨てられてしまう、いわゆる「食品ロス」は、年間612万トンと推計されています。一方で生活に困窮し、明日の食事もままならない人たちが増えており、生活困窮者自立支援制度の相談窓口に相談に訪れる人の数も増加傾向にあり、また、7人に1人の子どもが貧困という、衝撃的な統計も発表されました。
現在は「食品ロス削減推進法」が施行され、食品ロスの削減が国民運動として定義され、受け入れ先としてフードバンクへの期待も大きくなりつつある一方で、新型コロナウイルスの感染拡大及びその防止による経済活動の自粛により生活困窮者が増加しているという状況であります。
「もったいない」から「ありがとう」へ~をスローガンに、この二つの社会課題を結びつけ、その解決を目指します。
プロジェクト内容説明
必要な食品を必要な方へ
フードバンクによる食品寄贈は、希望する方に直接食品をお渡しする、というわけではありません。団体を通じてお渡しすることになり、そのメインが生活困窮者自立支援制度における「相談窓口」になります。
その理由はいくつかありますが、主となるのは「食品寄贈を通じて、総合的な悩みや課題の解決を目指す」からです。食品を求める声の裏側には、本人の切実な悩みが隠れています。その中身は、借金問題や病気・仕事の問題など、さまざまではありますが、私たちにはそのすべての相談にのるための体制が整っておりません。総合的な課題の解決のメインは、あくまで相談窓口や各支援団体にお願いし、相談窓口が支援を進めていく中で食品が必要となった場合、フードバンクに依頼をいただくというのが基本的な事業の流れになります。私たちは、いわば「補助的な役割」を担っているわけです。
ただ、制度があるとはいえ、相談者が実際に相談に行くにはかなり高いハードルが存在します。それは「知らない人に自分の困りごとを相談するのは不安」「自分よりもっと困っている人が行く場所ではないか」「相談すること自体が恥ずかしい」などといった心理的な障壁です。
そういった心理的障壁に打ち勝ち、勇気をもって相談にきた人に対し、私たちは食料支援という範囲の中で、全力で応援しなければなりません。そのために窓口からは世帯人数、世帯構成、ライフラインの状況、使える調理器具といった様々な情報をいただきます。私たちは直接、相談者に会うことはありませんが、窓口からいただく情報を基に、その世帯が、どういう食品をもらえば喜んでもらえるか想像し、寄贈いただいた食品から「食品セット」を作成し、相談窓口に託すことになります。
また、多様化するニーズに対応するため、多種多様な食品を集める手段として、フードドライブを行っております。これは協力機関に食品回収BOXを設置していただき、個人からの寄贈を募るというもので、私たちの活動を周知し、各団体との連携強化や仕分けのためのボランティア募集という意味においても、大変重要な事業となります。
目指すところ
フードバンクを持続可能な「地域の仕組み」へ
新型コロナウイルスの感染拡大及びその防止による経済活動の自粛により、今後、生活に困窮する方がさらに増加することが予想されます。だからこそ「困ったときはお互いさま」の精神を元に、生活に困った人が、その解決のために相談に行き、場合によってはフードバンクの食料支援を受けることが何ら特別ではないという世の中になることを目指します。
現在、私たちフードバンクふじのくにが担い手として、静岡県内のフードバンク事