そうした危機的な状況を、白日にさらしたのが、昨年の台風15号による、大量の倒木と、それによる大規模な停電でした。
縁あって、こうした中山間地域の仕事に携わっている以上、次の世代に豊かな森を残すことの重要さを、ひしひしと感じています。
4.プロジェクトを立ち上げた背景
①日本リノ・アグリがはじめた農地再生事業
この活動のスタートは、8年前に遡ります。
耕作放棄地の再生作業を行う日本リノ・アグリ
半世紀ちかくの間、荒れ果てていた山林と農地の、再生に着手した方がいました。
日本リノ・アグリの中村伸雄社長です。
「ふるさとのためになるならば」と、当時経営していた造園会社を引退し、200ha以上におよぶ広大な山林と農地を引き受けました。2013年のことです。
手入れをされていない暗い森の整備から始まった。
それから4年(いまから3年前)。
膨大な時間をかけ、針葉樹を間伐し、光が届くようになった森
再生した農地の活用方法について、中村社長から相談を受けたのが、
私がこの事業に参加することになったきっかけです。
② 3年前に、合流、農業法人の代表に就任。
「こんなところで農業を成り立たせるのは、無理だ!」
仮にも有機農業を専門にしていた私は、率直に伝えました。
まともな通路もない畑、四方を杉林に囲まれ、
ほとんど日の当たらない畑、狭くて不整形な畑、
そんな畑では、いくら土が良くても収益は出ません。
しかし…、
花を育て、蜜源樹木を植え、蜂蜜を得る農業なら、、、
ひょっとしたら可能性があるかもしれない。
花畑に蘇った耕作放棄地
造園のプロである中村社長が、花を育て、
生産のプロである私が、蜜蜂を育てる。
そんな風にして、このプロジェクトが始まりました。
このとき、蜂蜜の生産・販売を行う農業法人として、
「ONE DROP FARM(ワンドロップファーム)が発足し、
私(豊増)が代表に就きました。
養蜂体験や森林体験を通じて、天然はちみつの価値を伝えてきました
③ 軌道に乗り始めた矢先の、台風・豪雨被害と、コロナ禍
そうして、3年。
奇跡的な縁で信州の師匠さんに出会い、
なんとか蜂蜜の生産と販売が軌道に乗ってきたな、、、という時に、直面したのが、
・千葉県を襲った台風15号、19号、21号による豪雨被害
そして、
・追い打ちをかけるように襲った、一連のコロナ禍でした。
本来であれば、中村社長の日本リノ・アグリと共同で蜜源の管理や森林整備などを進めていきたいところでしたが、蜜源に関しては、現在はほぼすべて日本リノ・アグリにお願いしている状況。
少しでも早く、養蜂事業の収益力をつけて、蜜源の管理や森林整備に還元していかなければなりません。
そんな焦りの極みの状況で浮き彫りになったのが、「はちみつの価格の安さ」でした。
以前から、はちみつという農産物の価格が、実際の再生産可能価格に対して非常に低価格で取引されていることに大きな課題を感じていました。
5.これまでの活動
これまで、はちみつの価値をみなおしていただいたり、里山の価値を伝えていけるような催事販売、農場体験イベント、農場研修などを実施して収益としてきましたが、昨年の台風および、今年の感染症の影響で、そうした催事販売、イベント等が一切中止になりました。
「伝える場」を失ったことで、当初計画していた売上計画からは大幅に落ち込み、それを挽回するために農場で始めた直売の売上増でなんとかしのいでいます。
そうした状況を大きく挽回するために、数年前か