私は、「南部菱刺し」の魅力に気づいたひとりです。
「南部菱刺し」は、青森県八戸市周辺で始まった、なんとも美しい刺繍です。
この度は、東京・調布で教室(「南部菱刺しの会」)を開き、作品を製作をしている作家の協力の下、より多くの方に「南部菱刺し」の魅力を知ってもらおうと思い、プロジェクトを立ち上げました。
「南部菱刺し」は、八戸を中心とする青森県南部地方の農村で、200年ほど前から、麻の衣類の保温補強の為に刺された刺し子の一種です。刺し方は、ただ横にびっしりと刺していくだけ。しかし、そうすることにより、布は厚みを増して丈夫になります。
最初は、生地も糸も質素なものでしたが、刺し目の数により多様な柄が現れ、「梅」「やばね」などの名前が付けられるようになり、柄の種類はどんどん増していきました。その後、毛糸が手に入るようになると、柄に多様な色が加わり、鮮やかな前掛けなどが作られるようになりました。
現在は、保温補強あるいは前掛けのように生活に関わるもののために刺されるのではなく、インテリアや小物などに使われる刺繍となって、全国的に展開されています。しかし、材料は青森由来、天然のものを選ぶことが好まれているようです。
これは、前掛けに使用される柄の見本です。
【表側】
横に刺していくだけで、このような模様が出来ることに、まずは驚きます。
そして、なかなかお目にかかれない裏側をお見せしましょう。
【裏側】
当然ですが、色が反転して同じ模様が浮かび上がってくるのです。
もちろん、裏側には糸の結び目もありますので、作品になる時には裏布を貼り、目にすることはなくなりますが、布全体に糸が渡っているのを確認できます。これが菱刺しの丈夫でありがなら、しなやかである所以です。
作品は、目数を数えてひと針ずつ根気よく刺すことで作り出されます。「ひと針ずつ刺すだけ」という単純作業の積み重ねですが、それが美しさを生み出しているのです。
東京・調布市で活動している「南部菱刺しの会」の先生と生徒の皆さんの、作品展示販売会を開催したいと思います。
現在、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のために、教室も活動を控えられていますが、皆さんの思いと手は動いています。素敵な作品をお見せする機会を用意したいと思います。
そして、それが、「南部菱刺し」をもっと多くの方に知っていただくきっかけとなることを願っています。
このたびの協力者の作家(先生)と「南部菱刺しの会」について紹介します。
活動場所は、東京都調布市。先生は、調布市工芸美術協会の会員です。雑誌の子供服デザインや制作を担当後、服飾専門学校の教師を務めました。2008年に「南部菱刺し」に出会い、その魅力にとりつかれて製作を始めました。また、「南部菱刺し」の歴史や背景、現在の状況にも関心を持ち、青森他に足を運び、多くの製作者との関わりを持っています。
2013年 調布市(東京都)で個展を開催
2014年 調布市(東京都)で「南部菱刺しの会」(教室)立ち上げ
雑誌掲載(日本ヴォーグ社「手づくり手帳」2018年)などを経て、現在は、教室運営のほか、生徒さんと展示会や販売会を東京にて開催(不定期)。
また、「南部菱刺しの会」は現在、計20名程度での活動で、月に2度ほど集まって、先生の指導を仰ぎつつ、各人が思い思いの作品の製作に励んでいます。生徒さんは、皆さん女性で、この「南部菱刺し」らしく、女性の手により、その魅力が広がっています。
「南部菱刺しの会」の生徒さん達との展示会や販売会を実施します。
また