廃棄対象となったビールに再び命を吹き込み、香りはじける「フルーツリキュール」に

廃棄対象となったビールに再び命を吹き込み、香りはじける「フルーツリキュール」に
緊急事態宣言等により飲食店向けに販売が出来なくなり、十分な販売機会に恵まれずに廃棄処分対象となってしまった樽詰めのクラフトビールを蒸留してリキュールを造ることで、単に捨てられてしまうビールを減らして販売事業者の損失を少しでもフォローしたい。

〇はじめに・ご挨拶-マルホ酒店について

大阪市西区で明治末期創業の酒屋を営業しております。

現在は、主にクラフトビールを専門とした飲食店を大阪難波に1軒と常時400~500種類程に厳選した国内外の商品を酒屋として販売しつつ、ヨーロッパやニュージーランド・香港からクラフトビールの輸入卸売り販売も行っております。

マルホ酒店 九条本店

マルホ酒店 ミナミ店

スペインのブルワリー訪問時(店主中央)
〇プロジェクトについて

コロナ感染症対策により、樽生ビールの販売先である飲食店が休業・時短を強いられる中で十分な販売機会を得る事なく廃棄対象になってしまうビールを廃棄という形ではなく、地域の酒蔵の協力も得て新たなお酒にして届けるというプロジェクトです。

*原料となるビール

弊社及び同業者の輸入したクラフトビールで賞味期限がギリギリ又は切れてしまったものを使用します。

ここでの賞味期限は、ビールとして美味しく飲める品質が維持できる期間として造り手が定めた期間に根差したもので、身体的に害を及ぼす期限を過ぎたものを使用する事はありません。

また、蒸留後とリキュールを試作した後、通常の食品検査よりも厳格な、酒蔵社内の1ヶ月半に及ぶ食品検査によりOKとなった物を販売致します。

今回の蒸留とリキュールへの製品化を兵庫県の地酒蔵「西山酒造場」に依頼致します。

〇プロジェクトのキッカケ

当然自分たちが愛情を持って輸入、そして親しい造り手が手間をかけて造ったビールを捨てるような事をしたくない。

また、初めて飲んでビールを飲んで頂く方がガッカリするような品質のものを販売したくない。

という思いが前提としてあり、取り組みには以下のような背景もあります。

1,ビールの注文をしてから、日本でリリースするまで約1ヶ月~3ヶ月近くかかる為、急な要請等があった際、すぐにビールの仕入れ量を調整出来ない。

2,自分達でビールを造っていると、ギリギリのタイミングで瓶詰めと樽詰め等の配分も出来るが、樽で輸入したものを後から缶・瓶の容器に詰め直すのは保存性と免許上の問題もあり難しい。

3,酒税200円/L(20Lの樽1本で4000円)は輸入業者の場合、廃棄した場合返還される事なく、更に廃棄費用も掛かる。

今回、自社で輸入したビールで廃棄対象になってしまったビールだけでなく同業のクラフトビール輸入業者にも声掛けを行い、同様に廃棄せざる得ない樽を引き取り製品化致します。

総量約6000L以上のビールが手元に来ました…

このビールをそのまま廃棄とすると、価格がピンキリとは言え、原価ベースで約400万~600万円の純粋な損失に加えて廃棄処分料まで発生します。

こうした、金銭的な要素もそうですが、何より形を変える事で良いものになり得るものを廃棄するという単なるマイナスではなく、少しでもプラスに変えて業界全体でもう少し良い循環が出来るような仕組みを作りたいと思っています。
〇リキュールを造る西山酒造場について

兵庫県丹波にて創業より170年以上経過する酒蔵

主要銘柄である「小鼓」は、明治を代表する俳人高浜虚子の命名によるもので、漫画「美味しんぼ」にも紹介された仕込み水を使用した、その酒質は柔らかく滑らかな口当たりと華やかなアロマとほのかな甘みが特徴的。

また、リキュールにおいては「深山ぶどう」、「梅申春秋」などで有名で特に、赤葡萄を使用したリキュール「深山ぶどう」は、2014天満天神梅酒大会リキュール部門において来場者投票で優勝した実績を持つ。

かれこれ、弊