います。)
刃物屋 × 革屋
森本刃物製作所から皆さまへ
今回、リリーレザーデザインさんとのコラボ商品企画は、私たちにとって大きなチャレンジになりまた。ご相談いただいたバトニング可能なアウトドア肉厚ナイフは、日頃私たちが製造している包丁とは材料も工程も異なります。ですが、私たちも刃物のプロとして試行錯誤を重ね、自信をもってお勧めできる最高品質の製品ができあがったと思っています。
その製作(作業工程)を皆さまにご紹介できればと思います。
(少し長くなりますがご覧いただければ幸いです。)
鋼材カット
CADデータに基づいてレーザーカットでナイフ外形・柄部分のスケルトン部分・ナット穴を切り出します。
鋼材下処理
熱処理前にあらかじめ刃部分を10mm 程度の幅で両側から芯材の鋼の厚みくらいまで研いでおきます。ナイフの曲がりがないか確認しあればこの段階でまっすぐに直しておきます。またレーザーカットによる外周の加熱のストレス部分や端面の凸凹を取り、後の仕上工程をスムーズにするために仕上目の手前の細かさまでベルトサンダーでペーパー掛けをします。
熱処理 写真提供 第一鋼業(株)
使用している鋼材は白 2 鋼をステンレスでサンドイッチしたもので、包丁によく使用されるポピュラー な組合せですが、今回は5mm厚の通常より厚手鋼材に挑戦。そのため、材料を均一に焼き入れ・焼き戻しするためにソルトバス(塩浴槽)による熱処理加熱・冷却を採用しています。温度ムラが出るのを防ぐために一本ずつ丁寧に温度管理を行っています。 また、タフな使用に耐えられるよう通常1度の焼き戻しを2度行い欠けにくくし耐久性を高めています。
【日本では、日本刀の制作が熱処理の起源として知られています。日本刀や剣の良しあしは、命にかかわる問題であり「硬い」と「粘り強い」は相反する特性であるといえます。弊社では、機械剪断刃物・熱処理の経験を活かし、材料の特性、組織を変え、この2つの特性を如何にしてバランスよく得るか度重なるテストを通じてベストな熱処理ができたと思います。 第一鋼業(株)】
荒砥ぎ
包丁と同じく専用の研ぎ棒に取り付けて荒い円砥石でほぼ実際の刃の厚み近くまで一気に研いでいきます。
本研ぎ
荒砥ぎ後の刃を整えて更に厚みを揃えるように研 ぎます。荒砥ぎ・後の目透き砥当ても同様ですが、そのまま長く研ぎ続けると砥石の回転がブレてきてきれいに研げなくなるので10~15本に1回は砥石の叩き目を付け直しては研いで、を繰り返します。
目透き砥当て
本研ぎまでの砥石目を消し細かい目にして切り刃と平部分の段を取ります。一度当てた後に刻印を打って更にもう一度目を整えます。
刻印
普通の包丁では荒砥前に打つことの多い刻印を仕上に近い段階で打つことで消えにくくキレイにマークを出すことができます。
バフ当て
目透きの砥石目をつぶしてツヤを出します。ここを丁寧に当てることで刃に汚れが入り込みにくく錆びを軽減する効果があります。
化粧目当て
ツヤを出したナイフ表面が落ち着いた艶消しになるよう2種類の専用ベルトで目通しをし防錆剤を入れた 湯で拭き上げ研磨剤を落としてから金剛砂を吹き付け刃境を際立たせます。
小刃付け
刃先に仕上砥石で仕上刃付けをして切れ味を確認します。
木柄制作
ウォールナット材を一組ずつあわせた際に、きちんと木目が合うようにして制作いただきました。制作は、普段から包丁の柄材でお世話になっている、関の「岡田木工製作所」さまにお願いしました。
ウォールナ