うになりました。国内では比較的早くこうした取り組みをしたおかげで、『カップオブエクセレンス』というコーヒーの国際審査会に審査員として呼んでいただいたり、国内の焙煎者仲間たちと共同購入で産地からの直接買い付け=ダイレクトトレードを始めたり、様々な経験をすることができました。目まぐるしく変化するコーヒー業界で色々な苦労がありましたが、コーヒーを通じて多くの生産者や仲間たちと出会えたことに本当に感謝しています。
絵本との出会い
世の中がコロナ禍に覆われる少し前、私はブラジルのコーヒー審査会や講演会で知り合った、世界的に著名なコーヒー農学者であるフラビオ・ボレム博士の研究室を訪れました。そこで、博士が妹のマリスマルさんと出版したこの『Koffy Kid』の絵本をいただきました。
幼い頃から絵本が大好きで、両親や祖母に毎晩絵本を読み聞かせてもらっていた私にとって、この絵本との出会いはまさに衝撃でした。絵も内容も本当に可愛らしく、、、おまけに私のライフワークであるコーヒーのお話です。とにかく「この絵本を日本の子どもたちにも読んでもらいたい!」という気持ちを抑えられませんでした。翻訳家でもなく、出版の経験もない私にとって具体的な方策はありませんでしたが、この絵本を日本語で出版したいという一心で、帰国して色々な方にこの絵本の話をしました。その思いに賛同してくださったのが、いつも一緒に活動しているIWCA JAPANのメンバーでした。
プロジェクトに込める思い
私の絵本好きがきっかけではありましたが、産地を定期的に訪れることで生まれたボレム教授との繋がりや、IWCA JAPANの仲間との繋がりがなければ、この絵本が日本語に翻訳され、皆さんの目に触れることもなかったかもしれません。コーヒー業界に生きてきて、人と人との繋がり以上に大切なものはないと感じます。この絵本を読んだ子どもたちが、コーヒーを好きになったり、もしかするとコーヒー業界に関わることになるかもしれません。そのきっかけの一つがこの絵本であれば、これほど嬉しいことはないと思います。そして、皆さんが私たちIWCAの活動を知り、コーヒーを通じた繋がりの輪がさらに広がっていくことを願います。
絵本について
『Koffy Kid』の魅力/著者特別インタビュー/日本語版制作の裏側
日本語版は表紙が変更となりますさて、純粋に絵本に興味を持ってくださった皆さんには、前置きが長くなってしまってすみません!
今回邦訳出版を目指すのは、ブラジル・ポルトガル語の原題『Cafe Zinho』、英題は『Koffy Kid』という絵本です。あまり詳しい内容をお話すると、完成版が届いてからの楽しみがなくなってしまうので、概要だけご紹介させていただきます。
絵本『Koffy Kid』の魅力
主人公はコーヒーが大好きでコーヒー色の肌をした少年。あだなは「コフィー」。コーヒー好きが嵩じて、少年はある日不思議な夢を見ます・・・
コフィーの冒険は読者をコーヒー発祥の物語にいざなっていきます。コーヒーの由来には諸説ありますが、この絵本を読んで興味を持った方は、日本語でもいくつかコーヒーの歴史を扱った書籍がありますので、ぜひ調べてみてください。
また、コフィーのコーヒー色の肌は、人種のるつぼと言われるブラジルの多様性を象徴するものと言えます。様々な国からやってきた人たちがブラジルという国を構成していて、日本からも100年以上前、多くの人びとがブラジルに移住し今も日系人として暮らしています。
この絵本の魅力は、ちょっと不思議な物語の雰