けたものの、「飼い主さんが半年間みつかるまで、どうしよう…」と、お巡りさんも引取りに困っている様子です。
当時、すでに私の家には3匹のワンコがいたので、「もう1匹増えても変わらないし」と楽観的な考えの私は、「飼い主さんが見つかるまでの半年間なら」と面倒をみることをお巡りさんに告げて、我が家へ(仮)で迎え入れ、先輩犬達との穏やかな共同生活がスタートしていきます。
今更1匹増えたところで特に問題も起きず、大人しい迷い犬(プリン)は、スムーズに他の犬達とも馴染んで仲良く暮していきます。
月日は流れ、あっという間に半年が経ちまして。
待てど暮らせど警察からの連絡は無く、飼い主さんはいっこうに現れません。
改めて交番に向かいお巡りさんとお話させてもらいましたが、保護犬のその後の行き先は、保健所になる話だったと記憶してます。
このまま殺処分は私には納得できなかったし、正直すっかり愛着が湧いてしまっていたのが本音で、「このまま育てさせて下さい」と、咄嗟に引き取る事をお巡りさんに伝えていました。
その場の勢いで引き取った私を、お巡りさんは「新しい飼い主さん見付かって良かったね」と保護犬(プリン)に語りかけてくれ、笑顔で見送ってくれたお巡りさんに挨拶をして、私と迷い犬は交番をあとにしました。
半年前「居候を連れて帰った道」を、今度は「正式にウチの子に迎える帰り道」として、同じ道を新たな気持ちで、1人と1匹ゆっくり散歩しながら帰ったのを覚えています。
まだ正式に名前を付けていなかったので、一緒にお世話してくれていた母へ相談してみる事にしました。
当時、犬が3匹と猫も居りました。
母は開口一番、「たくさん居るから名前が覚えきれないよ」でした。
母の意見を尊重して、母の好物の中から厳選した中から、晴れて「プリン」と名付けられる事となりました。
プリンは滅多に吠えず穏やかで人懐っこい性格だったので、いつも餌をくれたり可愛がってもらったりと、周りに集まる人達を、たくさん笑顔にしてくれていました。
ちょっとトボけた天然さや穏やかさが、私の癒しでプリンの大好きなところでした。
大好きな骨ガムを色んな所に隠して結局は忘れてる天然さや、放浪中の習慣であろう散歩中のモグラ獲得に、夢中で穴を掘り結局は捕まらない繰り返しで、土でまっ黒になったプリンの顔見ては、いっぱい笑わされたり癒やされていました。
振り返って思い出すのは、穏やかな安心感をくれた事と、あの上目遣いの憎めない顔が、今も懐かしく胸に焼き付いています。
プリン10歳の時のこと。
お腹の膨らみが気になり病院へ連れて行くと、何と高齢なプリンが赤ちゃんを身籠っていることが判明します。
犬の10歳は、すでに高齢です。
初めての出産なのに落ち着いた様子で、カワイイ赤ちゃんを、無事3匹プリンは出産することが出来ました。
カワイイ赤ちゃんが生まれると、家族だけでなく普段からプリンを可愛がってくれた皆さまが、自分の犬のようにとても喜んでくれていたのを思い出します。
余談なのですが。
プリンの高齢出産のお陰なのかはわかりませんが、飼い主の私も高齢でしたが子供を授ることができ、しかも安産で出産することができたのでした。
有難う!プリン!!
そして少し成長したプリンの子供達は、1匹を我が家に迎えプリンと過ごし、あとの2匹は母のお友達にお迎えされ、プリン同様とても大切に可愛がって育てられていきました。
プリンが24歳の時です。
1度だけですが、突然プリンが脱走したことがありました。
近所をみんな