はじめまして。
国際NGO・Internetbar.org Instituteディレクターの安田クリスチーナと、インターンの嶋田幹大です。
この度は本プロジェクトに興味を持っていただきありがとうございます!
以下の文章に私たちの想いを込めさせていただきましたので、お読みいただけますと嬉しいです。
Internetbar.org Institute・通称IBOは、アメリカ・ヒューストンに本部をおく国際NGO団体です。
「Building Justice for All」をミッションに掲げ、デジタルIDをはじめとするテクノロジーを通した途上国支援に2008年から取り組んできました。日本支部であるIBO Japanは、アメリカ本部や途上国現地のスタッフと連携して資金調達やリサーチなど精力的に活動を行っています。
私たちはこれまでに、難民をはじめとした周縁化された人々が教育・雇用にアクセスするためのID発行事業「The Invisibles」を立ち上げ、2019年にはバングラデシュにて医師を対象としたデジタル証明書を発行する実証実験に成功しました。
今回のプロジェクトは、周縁化された人々へのID発行を目指すパイロット事業の第二弾として、ザンビアの女性・若手起業家に対してデジタルIDを発行することで、失業率の高いザンビアにおいて新たな雇用を生み出すことを目的としています。
みなさんは「ザンビア」という国について、どれくらいご存知でしょうか。
ザンビア共和国は、中央アフリカ南部に位置する内陸国です。
人口は約1,700万人(東京都と横浜市の合計と同じくらい)で、公用語は英語です。
国内には73もの部族が存在している多様性に富んだ国で、1964年に独立して以来内乱や戦争などもなく、治安はとても安定しています。
しかし、ザンビアの失業率は世界の中でも非常に高く、新型コロナウイルスの影響で雇用問題はさらに顕在化しています。
特に女性の失業率は男性より遥かに高く、2020年に最大25.8%を記録しました。
日本の平均失業率2.8%と比べると、この問題の深刻さが伺えると思います。
高い失業率に加えてザンビアの女性は、慣習により土地の所有が制限されたり、半ば強制的な早期結婚などの影響でわずか37%しか就学することができなかったり、という不条理に直面しています。
そして、女性が経済的に自立できない環境というのは、その子供たちの更なる就学率の低下やストリートチルドレンの増加につながってきます。
このような困難に晒されながらも、ザンビアの女性・若者は希望を失っていません。子供を養いながらも新たなキャリアのために学校復帰を目指す女性や、自身のビジネスを拡大して家族を支えようとする人々が多く存在しているのです。
ザンビアにおいて女性のエンパワーメントを行うことは、最終的に国全体の経済的成長につながります。ザンビアでは、国内全体の消費割合のうち70%を女性が占めているからです。
起業家精神あふれる彼女たちとその子供たちのために、雇用問題の悪循環を断ち切らねばなりません。
(写真・左)子供を養うため学校への復帰を目指すシングルマザーとIBO Zambiaのサイモン教授
(写真・右)IBO Zambiaから小口融資を受けて生計を立てている女性起業家
この問題にテクノロジーの力で解決するべく、IBOは立ち上がりました。
まずはザンビア国内の全10州、特に貧困問題が深刻化している農村部を中心に、女性・若者に対して金銭的支援とICT教育を提供できるための環境整備を行いました。
ザンビアで小口融資事業の5年以上の運用実績をもつイスラエル、現地パグロリー大学でコンピューター・サイエンスの教鞭をとるサイモン教授、地元カブウェでコミュニティ開発事業に尽力していたコミュニティ・リーダーのエリザベスとクリスピン。
2020年1月から、4名の意欲あふれる現地スタッフが率いるチームと現地で事業を開始し、2020年9月には、ザンビア国内で「IBO Zambia」が正式なNPO法人として認められました。
2020年から行ってきたアメリカとザンビアの高校生間の国際交流などの若者支援事業での経験からも顕在化した失業率の高さに立ち向かうべく、2021年から小口融資を手段としたコミュニティ強化のプロジェクトを新たに開始することを決めました。
(写真・左)現地の大手ラジオ番組から取材を受けるIBO Zambiaのチーム
(写真・右)IBO ZambiaのNPO法人登録証明書
ザンビアの女性・若者が小規模の新規ビジネスを始めるためには、もちろん初期資本が必要です。
普段から厳しい生活を強いられている彼らにとって、これが非常に大きな壁となっています