和佐野氏「難聴というのは言葉が聴き取れないことだけではなく、様々な音を失っている状態だと思っています。公園に行った時の鳥の声であるとか、木がざわざわいう音であるとか、色んな刺激にあふれた世界をも失ってしまっているのが難聴という状態です。comuoon Pocketは今までの集音器と比べると幅広い音が出る印象があり、自然の音が実現していると思います」
「補聴器は敷居が高いけれど…と感じる方が、補聴器を着ける前に気軽に試してみるのに非常によいのではないでしょうか。自分で機器を操作し調整を行いながらよい聴こえを実現するという意味で、これまでに例の少ないおもしろい試みだなと思います」
comuoon Pocketの周波数特性
comuoon pocketの周波数レスポンス曲線となります。60dB SPLと90dB SPLにて測定を実施しました。それぞれの音圧レベルにおいてリニアなレスポンス特性となっています。また比較的低い周波数についても出力させることでより自然な音響特性を実現しています。周波数特性については、製品の完成までにさらに調整を進めていきます。聴覚保護のための過大音圧制限などの機能を盛り込む予定です。
※補聴器周波数特性装置にて60 70 80 90dB SPL 入力時の出力を2cm カップラにより測定した。
※東京医療センターの協力を受け計測を実施
開発背景
近年、フレイルという言葉が頻繁に登場しています。フレイルとは、加齢により体や心のはたらき、社会的なつながりが弱くなった状態のこと。健康状態から要介護状態になる中間時期に注意して、健康を取り戻そうというムーブメントです。私たちはフレイルを発展させ、ヒアリングフレイルという考え方を提唱しています。言葉の通り、聴覚におけるフレイルです。
聴覚はコミュニケーションを支える機能です。聴力が低下することで、たとえば
聴こえたふりをすることで話が通じず、認知症と勘違いされる
聴こえない自分がイヤで会話を避けてしまう
人前に出るのが恥ずかしく、うつ病になってしまう
といった問題が発生します。
つまり聴覚の衰えによるフレイル状態、ヒアリングフレイルが発生するだけでなく、難聴者への配慮や理解が足りないことによって、聴覚以外は健康な人がフレイルや要介護と誤認されてしまうことがあるのです。
健康な人が健康な生活で送れるように、聴こえを支援する機器が必要です。人生100年時代、健康で元気なシニアが多いですが、それでも難聴者は多くいます。それなのに補聴器は普及せず、コミュニケーションのすれ違い、健康状況の勘違いが発生してしまっているのが、今の社会です。眼鏡は普及して「難視者」とは言わないのに、どうして聴こえの支援は普及が進まないのでしょうか。
また、聴こえづらさから認知症傾向と「誤認」されている場合よりも、まさに認知症につながってしまった場合は大変です。難聴はコミュニケーション機会、音による脳への刺激を減らすことで認知症リスクを高めます。
社会とのつながりや心身の健康のために欠かせない聴覚がおざなりになっている。この社会的課題を解決するためにcomuoon Pocketは開発されました。軽度から10度の難聴者が、手軽に、いつでもどこでも使えるリスニングモニターで
ご支援者の皆様へのご挨拶
ユニバーサル・デザイン株式会社について
私たちユニバーサル・サウンドデザイン株式会社は、対話支援機器comuoonシリーズの設計・開発・販売や聴覚簡易チェックアプリケーション「み