去年から続く、コロナウイルスの蔓延で都内で開催されているアートイベントも縮小傾向にあり、美術を専攻する学生たちも国内外で活躍するアーティストの作品に触れる機会も少なくなってしまっている現状もあり、少しでも多くの人々に触れて頂きたい。そんな気持ちが大きくあります。
今回のプロジェクトでは、展示品のみが主役のイベントではなく、つくばの地域性を知りながら、その場所性を生かした現代アートを通し、アートに触れ、地域に触れ、歴史に触れる機会を作ることはできないか。
1960年代から続く学園都市計画で高度に整備されたセンター地区や大学・研究機関などの知的な環境と、筑波山を含む昔からある豊かな自然や田園が調和・共生するつくば市ならではの「自然豊かで、近未来的な街、つくば」に根差した、地域性を生かしたアートプロジェクトを開催したいと思いました。
今回のプロジェクトは、つくば市の中心部と筑波山麓を舞台に、国内外で活躍している現代アーティストをはじめ、つくばにゆかりのあるアーティスト、様々な表現に挑む若手のアーティスト30名以上が参加し、広域のエリアで市内外の方々に現代アートに触れる機会を創ります。
そして、観光のお客様でも普段はなかなか訪れない、しかし、魅力的な筑波山麓地域に光をあてます。つくば美術館を始め、サイバーダインスタジオ等新しい風が吹くつくばの中心部から、歴史ある筑波山神社から続くつくば道沿いの古民家等を繋ぎ、懐かしくも新しい文化を醸成する試みとなります。
現代アーティストが展開する“アートのあるつくばの景色”の数々をこの機会に心置きなく楽しんでもらいたいと考えています。
つくば美術館、つくば駅周辺だけではなく、筑波山神社から山麓地域(旧筑波町地域)を繋ぐ道でアートを楽しんで頂くだけではなく、移動中や休憩する時間すべてに、土地の空気感まで感じて頂けるような展示をする事で、地域を巻き込んだ芸術祭を目指しています!
今回のチャレンジは最初の一歩として、長く続くアートイベントに成長させていきたいと考えています。小規模に思われるかもしれませんが、 この土地にしかない8か所のユニークな展示会場と総勢30名以上の国内外で活躍されているアーティストが、「アントロポセン」というテーマのもと展示をします。
※アントロポセンとは地質学的に人類が地球の地質や生態系に与えた影響を発端として提案された想定上の地質時代。 和名は「人新世」と言う。
TACPの企画、キュレーション担当、山中です。
第一回目となる今回は、「アントロポセンー分岐点を超えた景色ー」というテーマのもと各会場の場所性に触れたアート作品に出会うことができます。
街エリアの展示会場であるつくば美術館を例にあげると、インターネット上のキャラクター画像などを大量に収集し、それらを再構築した画像にペインティングで知られている梅沢和木さんの参加をはじめ、まだまだ不安の続くコロナ禍の状況の中で、現在アーティストインレジデンス(ART CAKE)に参加中の筑波大芸専出身 現代美術家牧田愛さんは、ニューヨークからの参加が決定。コロナ禍で来日を断念せざるおえなかったフランス在住の環境問題をテーマに表現する井上織衣さんの参加決定など、つくばにゆかりのある活躍中のアーティストは勿論、直接的な関連のない参加作家でありながらも、「つくば」が持つ特徴的な地域性に目をむけた作品が今回、制作、展示されます。
アーティストの持つ卓越した感性と技術がつくばの魅力あるスポットに新たな息吹をもたらす一時をこの機会に是非ご覧下さい